ウズベキスタン:被拘禁者と難民の安全が脅かされている

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2005年5月25日
国・地域:ウズベキスタン
トピック:危機にある個人
 5月13日のアンディジャンでの事件に関与した容疑で、法執行当局に恣意的に拘禁されたと報告される何十人もの人々の安全についてアムネスティ・インターナショナルは重大な懸念を抱いている。検事総長は、5月17日、タシケントで記者会見し、これまでに81人を逮捕・拘禁し、この全員が反政府勢力の暴徒であると報告されており、アンディジャンとの交通・通信がいまだに困難である状況下で、憲法秩序を転覆し、集団争議を組織し、人びとを殺害した容疑でこの 81人を起訴したと語った。

 これらの被拘禁者がこれまでに、弁護士や医師、親族と連絡することができているのか、あるいは隔離拘禁されているのか明らかではない。隔離拘禁中に拷問が行われる危険は極めて高く、非合法イスラム組織に所属していることを自白させるために、裁判前の隔離拘禁中に被拘禁者が拷問されたという何百もの報告をアムネスティは過去数年間にわたり受けている。ウズベキスタンにイスラム国家を設立する目的でアンディジャンで暴動争議を組織・煽動していると現地のアルカミヤ・イスラム運動の関係当事者や支援者を同国政府は非難している。さらに、ウズベキスタンでテロリスト組織と見なされている非合法ヒズブトタフリル・イスラム野党勢力にこの運動は関係があると同国政府は主張している。

 5月13日のデモでアンディジャンで拘禁された人びとの中に、少なくとも三人の人権擁護活動家が含まれているというウズベキスタンからの報告にアムネスティは特に憂慮しており、この三人が人権擁護の活動を行ったことを理由に逮捕されたのではないかと懸念している。ほとんど武装もしていない一般のデモ参加者に対して政府軍が無差別かつ過剰な武力を行使したことなど、アンディジャン市での事件をこれら現地の人権擁護活動家は監視し、個人的危険を冒してまでその報告を公表しようとしていた。

 ウズベキスタン政府軍が過剰な武力を行使し女性や子供を始めとする一般市民を殺害したことを同国当局は否定した。5月18日の内相発言によれば、アンディジャンで起きた政府軍と反政府勢力との武装衝突により170人が死亡し、その中には法執行官37人と反政府勢力の発砲により巻き添えになったとされる一般の通行人を含んでいるという。政府の発表した死亡者の中に三人の女性と五人の十代の少年が含まれているが、この五人は反政府勢力に人質として捕らわれていたとされてる。アンディジャンの中心部に抗議に集まった群衆に向かって政府軍が無差別に、警告もなく発砲したという目撃者の証言と、これらの政府の発表はまったく相反している。非公式筋の情報によると、死亡者数は少なくとも500人と推定されている。安全を求めて逃げ回る人々に対してさえ政府軍は無差別に発砲し続けたと、アンディジャンから隣国のキルギスタンに逃れた生存者は報道関係者に対して証言している。デモ参加者を兵士たちが超法規的に処刑した可能性があるという報告にアムネスティは困惑を禁じえない。国際的非政府系報道機関である「戦争と平和報道機関(IWPR)」が取材した複数の目撃談によれば、傷ついて地面に横たわっているデモ参加者たちの頭を兵士等は銃で一発ずつ打ち抜いて殺害していったという。

 また、国境を越えキルギスタンに逃れようとした人々に政府軍が銃撃を加えたという報告にもアムネスティは深い懸念を抱いている。デモ参加者の一団と共にアンディジャンから国境を越えキルギスタンに逃れる際に負傷したという男性をIWPRが取材したところによれば、避難の一行がテシクタシュ村の国境に近づいたとき、ウズベキスタンの法執行官等が警告もなしに発砲したと証言した。この銃撃で少なくとも女性二人と男性三人が死亡したとこの男性は語った。キルギスタン領域内に庇護を求めた難民の安全と保護を保障し、人権侵害の危険があるウズベキスタンに難民を送還しないことを保証するため、あらゆる手段を講じるようアムネスティはキルギスタン政府に強く要請している。

 政府機関の行動に対する不偏的かつ公開の調査を受け入れ、これらの事件について国際専門家を伴った迅速かつ透明性のある不偏的調査を実施し、その結果を公開し、責任者を裁判にかけるべきというウズベキスタン政府に対するアムネスティの要請が緊急を要するものであることを上述の目撃証言は一層裏付けている。国連人権高等弁務官も「同様に、東部ウズベキスタンでの事件の原因と状況究明のため不偏的調査を実施するよう要請」していることにアムネスティは留意している。

AI INDEX: EUR 62/010/2005