- 2023年4月21日
- [国際事務局発表ニュース]
- 国・地域:ウズベキスタン
- トピック:女性の権利
ウズベキスタン上院は4月6日、家庭内暴力を違法とし女性と子どもを保護する規定を盛り込んだ刑法と行政法の改正案を全会一致で可決した。同国の女性の権利活動家や人権活動家は長年、家庭内暴力からの女性や少女の保護を求めてきた。
法案が成立したことで、ウズベキスタンはジェンダーに基づく暴力の根絶という国際人権義務の実現に向けた重要な一歩を踏み出した。
家庭内暴力を違法とする国は、東ヨーロッパと中央アジアではジョージア、キルギスタン、モルドバ、ウクライナの4カ国だが、今回法案が採択されたことでウズベキスタンが5番目の国になる。
しかし、家庭内暴力を阻止し男性優位意識が強い社会通念と闘う上で、同国が取り組むべき課題は多い。また、法的に禁止されるのは身体的暴力であり、経済的、心理的暴力については手付かずのままであることも懸念される。
背景情報
同法案は、大統領の署名を経て施行される。改正法では、女性に対する嫌がらせやストーカー行為に対する責任が明確に問われ、性犯罪者の早期条件付き釈放ができなくなり、被害者の年齢を知らなかったという性犯罪者の言い分が認められなくなる。
ウズベキスタンでは長年、家庭内暴力や女性への暴力が深刻な社会問題になっていた。2021年1月から11月までの女性の暴力被害は36,000件近いとされ、そのうちの12,000件以上が身体的暴力とみられている。
さらに、家庭内暴力に関わる争いでは家族の維持が重視され、当局が女性の保護より家庭内の和解と融和を目指すため、女性の法的保護をしばしばなおざりにされてきた。
議会はウェブサイトでの公式声明の中で、新法は家庭での女性や子どもへの暴力を防ぐだけでなく「家族制度を強化する」として歓迎している。
アムネスティ国際ニュース
2023年4月6日
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