チリ:チリ:U2が国立スタジアムで人権賞を受賞

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2006年3月 1日
国・地域:チリ
トピック:
(サンティアゴ) 昨夜、国立スタジアムで行なわれた式典で、バチェレ次期チリ大統領が、アイルランド出身のバンドU2にアムネスティ・インターナショナルの「良心の大使」賞を授与した。

同賞は、シェイマス・ヒーニーの詩「良心の共和国より("From the Republic of Conscience")」にインスピレーションを得て生まれた賞である。U2は、人権を守るための尽力、そしてアムネスティ・インターナショナルの活動に対する貢献が認められての受賞となった。

「U2は、他のどのような著名人にも増して、世界中で人権を推進・擁護するアムネスティ・インターナショナルの活動を支援するために力を注いできました。人権を国際的な政治課題に押し上げるのに貢献することを通じ、U2は世界中の何百万もの人びとを鼓舞しています。U2は、その音楽を通して、変化のための力を生み出してきたのです。」毎年の授賞式を主催する、アムネスティのグローバルなアーティスト支援ネットワークである「アート・フォー・アムネスティ」の創始者兼会長であるビル・シプシーはそう語った。

「行方不明の囚人たちの親族の会」(La Agrupacion de Familiares deDetenidos Desaparecidos )、「キリスト教会の社会支援事業団」(the Fundacion de Ayuda Social de las Iglesias Cristianas)、「ホモセクシャルの融和と解放運動」 (the Movimiento de Integracion y Liberacion Homosexual)など、さまざまな人権団体の代表も式典に出席し、「良心の共和国より」の詩のコピーを手にした。

「幅広い分野の人権団体がこの式典に参加したことからも明らかなように、21世紀の人権問題は、監獄の壁を超えて物事を見、差別と貧困により社会の周縁に追いやられ基本的人権を奪われた女性、男性、子どもたちの命に目を向ける必要があります。チリやアメリカ大陸の国ぐににおける人権問題は、過去の遺物ではありません。それが今日の私たちにとってどのような意味を持つのか、理解する努力を惜しんではなりません。」アムネスティ・インターナショナル事務総長アイリーン・カーンの代理として、アムネスティ国際動員部上級部長のマルガリータ・バイラーは、チリでそのように述べた。

チリやアメリカ大陸のいたる所で、何千もの人びとがいかに重大な人権侵害に苦しみ続けているかということを、アムネスティの代表者たちは指摘した。たとえば、拷問、不正、差別に苦しんだり、職業、保健衛生、土地、教育などに関する基本的人権を十分に享受できていないといった問題である。

「こうした人権侵害に責任を負っているのは誰でしょうか? 拷問や虐待といった手段を用いることを正当化する政府です。また、人びとを保護すると口では言いながら、もしくは人びとを守るために行動すると言いながら、まさにその人びとの権利を侵害し続けている政府であり、企業であり、武装勢力です」とマルガリータ・バイラーは述べた。

「この国には、いまだに沈黙を守っている人間がいる。秘密を持ち続けることにうんざりしながら、その秘密が彼らの悩みを尽きさせないんだ。彼らに伝えたい。今こそ新しいチリの幕開け-過去の秘密から、自らを解き放つときだと」。U2のリーダー、ボノはそう語った。

「米国のトム・ラントス下院議員は、子どもの頃、ナチスによってハンガリーの死の収容所へと連行された。彼の人生で最も忘れられない経験は、ナチスから受けた残虐な仕打ちではなかった。彼のその後の人生において、彼の頭にとりついて離れない光景は、子どもたちが列車に押し込まれ強制収容所に送られるのを見ていた通りすがりの人びとの顔だったんだ。無言の顔・顔・顔。沈黙。疑問を口にすることもなく。

だから、チリで貧困にあえぐ人びとについて、彼らの向かう先が分かるから、僕たちは決して背を向けないと伝えたい。僕たちは、列車のところへ行き、線路に体を横たえる。それがアーティストとしての、人間としての、僕らの仕事なんだ。」ボノはそう述べた。

「今日の授賞式には象徴的なことがたくさんありました。20年前、音楽は、まさにこのスタジアムにおいて、恥ずべき人権侵害を覆い隠すために利用されていました。そして今日、音楽は、チリにおける包括的な人権行動計画の履行に向け、圧力をかけるために用いられました」とアムネスティ・チリ事務局長のセルジオ・ローレンティは語った。

「いかなる政府も、政策の中心に人権を置かずして新たに政権の座につくべきではありません。人権が一体どのようなものであるかを熟知しているバチェレ次期大統領が、この地域の他の国ぐにと世界の模範となるような人権行動計画を履行することを、私たちは信じています。」セルジオ・ローレンティはそのように述べた。

授与式の一部は、下記からご覧になれます。
http://emedia.amnesty.org/chile-270206-eng.ram

アムネスティ発表国際ニュース
2006年2月27日

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