ケニア:ソマリア難民・庇護希望者数千人の庇護を拒否

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2007年5月 2日
国・地域:ケニア
トピック:難民と移民
アムネスティ・インターナショナルは、2007年1月3日以降続くケニア・ソマリア国境の閉鎖について深く懸念し、早急に国境を開放しソマリアの紛争により庇護を求めて逃れてくる難民・庇護希望者の入国を許可するようケニア政府に要請する。

アムネスティは5月2日、「庇護を拒否:ケニア・ソマリア国境の閉鎖がソマリア人庇護希望者・難民数千人に与える影響」と題する報告書を発表した。これは、2007年3月のケニアへの調査派遣(国境閉鎖がソマリア人庇護希望者や難民の人権に与える影響の調査などを含む)を受けた報告書である。

この報告書は、ケニアへ入国し庇護を求めるソマリア人数千人の権利侵害、1月3日の国境閉鎖後にソマリアへ強制送還された庇護希望者数百人に及んだ危険について述べている。また、国境閉鎖後にケニアへ入国しようとした人びとが直面した困難に関しても書かれている。さらに、国境閉鎖によりソマリア側の国境付近の国内避難民(IDP)への人道的なアクセスが制限された。

他の国で国際的な保護を求める権利は国際法にうたわれている。ケニア政府が庇護希望者の入国や公平かつ十分な難民申請手続きへのアクセスを拒否することは、ケニア国内法や国際法の義務に違反する。

ケニア政府のソマリアとの国境を閉鎖するという決定は、2006年ケニア難民法、国連難民条約、アフリカ統一機構(OAU)難民条約やその他ケニアが加盟する国際人権法条約に違反し、ソマリアから逃れてくる人びとへの人権侵害を助長するとしてアムネスティは強く懸念している。

アムネスティは、ケニア政府に対し、以下の事項を緊急に要請する:・国際法・国内法上の義務に従い、ソマリア国内の紛争から避難する全ての人 びとの入国を許可し、ケニア国内で国際的な保護を受けられるようにソマリア との国境を開放すること・ケニアで庇護を求める全ての人びとが、集団認定手続きまたは公平かつ十分 な個別の難民申請手続きにより、効果的な保護へアクセスできることを確実に すること。これらの手続きには、特に申請却下の決定に有効に異議申立てする権利を 伴う個別のインタビューを含む、手続き上のセーフガードが十分に遵守されること・拷問、迫害、その他の形態の虐待や刑罰などを受ける危険性のある場所へ人びと を送還することを禁止するノン・ルフールマンの原則を尊重する義務と関連 当局へ照会せずに難民申請を却下してはならない義務について、警備官を含む全ての 出入国管理官を指導、訓練すること・国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)や他の人道支援団体が、庇護希望者の ケニア到着日にかかわらず全員に対し援助や人道的支援の提供できるようにす ること・国内避難民(IDP)に対する人道的支援を定期的、予測可能かつ安全に国境を越 えて提供できるようにすること・庇護希望者の命や自由が脅かされ、または深刻な人権侵害の危険に晒され る可能性のあるソマリア国内へは一人も強制送還されないよう保障すること

背景情報
2007年1月初めにエチオピアが支援するソマリア暫定政府軍とソマリアイスラム法廷会議(COSIC)軍との武力紛争が再燃し、ケニア政府は1月3日にケニア・ソマリア国境を閉鎖すると発表した。政府は、国境閉鎖の理由はCOSIC軍の国内流入を阻止するためと発表している。

「庇護を拒否:ケニア・ソマリア国境の閉鎖がソマリア人庇護希望者・難民数千人に与える影響」の全文(英文のみ)は:http://web.amnesty.org/library/index/engafr320022007

AI Index: AFR 32/004/2007 2007年5月2日


 

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