- 2014年8月 8日
- [国際事務局発表ニュース]
- 国・地域:グアテマラ
- トピック:女性の権利
2001年、マリア・イザベル・フランコさんは強かんと虐待の上、惨殺された。まだ15歳だった。(C)Private
米州人権裁判所は7月28日、グアテマラ当局に対して、少女殺害の捜査に関し、当局が適切な捜査を怠ったばかりでなく、女性に対する暴力と差別が社会に根強く浸透している状況に対処してこなかったと指弾した。
この判決は、世界の国々に、女性への暴力を放置してはならないという強いメッセージを送った。
2001年、マリア・イザベル・フランコさん(当時15才)は、強かんと虐待の上、惨殺された。当局の捜査があまりに遅々としていたため、母親は2004年、この件を米州人権委員会に持ち込み、最終的に米州人権裁判所に訴えた。
今回の判決は、女性や少女が暴力から守られ、暴力を受けたときは加害者が裁かれる社会環境を整備・維持することは、政府の法的義務であると示した意義ある決定である。
これまで犠牲になった女性や少女の死が真摯に取り上げられ、女性に対する暴力を防止し、すべての人が安心できる安全な社会をつくるための具体的な処置がとられない限り、今回の事件の教訓は生かされないであろう。
マリアさんはグアテマラシティで誘拐され、数日後、遺体が発見された。強かんされ、有刺鉄線で腕と足を縛られ、首を締められ、袋に入れられていた。彼女の顔は殴られて変形し、体には無数の小さな穴があき、爪は後ろに曲げられていた。
悲しいことに、同国で殺された何百人もの女性や少女は、共通してこのような肉体的、性的暴力をうけている。
母親は当局に対して娘の殺害の捜査を繰り返し求めてきたが、捜査に進展はなかった。それどころか、なぞの人物から脅迫や嫌がらせを受けた。
一方、アムネスティは、マリアさんの事件に関し当局に解明を訴えるキャンペーンを行なった。
米州人権裁判所は、グアテマラが蔓延する暴力に取り組もうとしていることは認めながらも、犯罪の多くが放置され、加害者のほとんどは罰せられないことも指摘した。
アムネスティは当局に対し、米州人権裁判所の裁定を真摯に受け止め、そのすべてを履行するよう要請する。
女性に対する暴力を容認する社会を改め、マリアさんのような悲劇を二度と繰り返してはならない。
アムネスティ国際ニュース
2014年7月30日
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