ドミニカ:数万人の無国籍者に追放の危機

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2015年2月 9日
[国際事務局発表ニュース]
国・地域:ドミニカ
トピック:難民と移民

ドミニカ共和国に生まれた何万人もの人が追放される恐れがある。その大多数はハイチ系だ。(C) ERIKA SANTELICES/AFP/Getty Images
ドミニカ共和国に生まれた何万人もの人が追放される恐れがある。その大多数はハイチ系だ。(C) ERIKA SANTELICES/AFP/Getty Images

ドミニカ共和国生まれの数万人が、2月1日に居住登録を締め切られ、追放される恐れがある。彼らの大多数はハイチ系である。

昨年5月に導入された法律169-14(市民登録・帰化に関する特別措置法)は、非正規滞在の外国人を両親に持ち、出生届けが出されていなかった者に対しは、特別プログラムに登録し居住許可を得るよう求めている。居住許可はのちに市民権を得るのに必要となる。しかし、登録の期限は2月1日であり、延長はされなかった。このプログラムに登録していなければ、国籍を付与される可能性を失うことになる。

期限切れ前に手続きを始められたのは登録資格保持者のほんの一部だ。内務省によれば、同法に従って申請をした人は1月9日までに5,345人であり、推定される登録資格保持者110,000人の5%にも満たない。

この法律導入のきっかけとなったのは、憲法裁判所が外国人の子孫数千人の国籍を過去に遡って剥奪すると決定したことに、強い非難が広がったことにあった。法律169-14は、無国籍になってしまうこうした人びとにまず外国人として登録し、その後初めから市民権を申請し直すよう求めている。

この問題にもう終止符を打つべきだ。これまでの法律が彼らの大多数を出生時に市民と認定したのはまぎれもない事実だ。その権利を奪い、国に留まるための条件として無茶な行政上のハードルを設けるのは人権侵害である。

しかし、現実には既に追放が始まっているようで、1月27日、30人のドミニカ生まれの子ども、その母親数人、14人の大人など51人が適切な手続きを経ずドミニカからハイチヘ追放されている。

法律169-14は2つの区分を作っている。すでに市民登録されていた者と出生が未届けの者だ。

迅速な手続きで国籍を返してもらってしかるべき市民登録済みの者でさえ、その多くが、いまだに何カ月も待たされ、事実上の無国籍状態にある。ハイチ移民の子として生まれたジョアン・アルベルト・ビルさんは、出生時に市民登録されているにもかかわらず、身分を示す書類をいまだに受け取れないでいる。

同国はあまりに長い間自国にいるハイチ系の人々の権利を踏みにじってきた。今こそ政府は緊急措置として、この国に生まれて生活してきたすべての人びとの国籍を完全に回復すべきである。

追加情報

ドミニカ共和国には、ハイチ移民の子孫数十万が住んでいる。両国には、サトウキビ農園で働く安い労働力を移転する目的の2国間協定があり、1940年代以降、ハイチ人はドミニカ共和国への移住を積極的に呼びかけられていたケースが多い。

数十年にわたり自国で生まれたハイチ移民の子どもを自国民として承認しており、親の居住資格に関わらず出生証明書、身分証明書、パスポートを発行していた。

アムネスティ国際ニュース
2015年2月1日

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