スウェーデン:警察にロマの個人情報4000件

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2015年6月 3日
[国際事務局発表ニュース]
国・地域:スウェーデン
トピック:先住民族/少数民族

スウェーデンの議会オンブズマンは3月17日、スコーネ警察署がロマの4,000人余りのデータベースを違法に保持していると発表した。同警察がロマの個人情報を非合法に作成・保持しているという申し立てに対して下された判断である。

この問題については、同国の日刊紙ダーゲンス・ニューヘーテルが2013年9月に暴露して、世間に知れ渡った。

同紙によると、4,000人を超えるデータベースには、1800年代後半に生まれて今は亡くなっている人から、2011年に生まれた子どもや生後2カ月の幼児の情報も登録されているようだ。大半に前科はない。

また、かつてこの問題を調査した個人情報に関する国の委員会と検察官は、明確な目的がなく、定期的な審査を受けず、参照記録もなく、犯罪容疑者か否かの識別もないとして、データベースは違法だと判断している。

オンブズマンの調べでは、内部の責任部署が曖昧で、扱う署員には問題意識がなかった。

また、意思決定基準に従わずに、権限のない職員がデータベースに関する判断をしていた事実や、データベースにログインして登録されている個人が被疑者かどうかを精査することが容易ではない設計となっている技術面の不備も指摘された。
特に問題視していたのは、この件が発覚しても警察が何の措置も講じていなかった点だ。

容疑者や容疑者と関わりを持った人物の情報も持つ警察は、個人情報に関する法律に従っていなかった。

オンブズマンは、警察の失態を強く非難しており、最終的責任は州警察長官にあるとしながらも、刑事情報部長とデータベース担当署員の責任も免れないとしている。

個人情報に関する委員会と検察官の調べでは、データベースは民族性だけに基づくものであると立証されなかったため、その点では違法とはならなかった。しかしオンブズマンは、個人情報を収集してきた背景には、実態としては民族性があり、すでに社会から疎外されている民族を対象としているのは、深刻な問題だと断じた。

特定民族の個人情報の収集は事実上、差別的であり、正当化はできない。これは、私生活が尊重される権利や差別を受けない権利に関わる、欧州人権条約など国内外の人権基準に違反していることは明白である。

アムネスティ国際ニュース
2015年5月27日

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