ノルウェー:トランスジェンダーの権利に歴史的快挙なるか

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2016年3月24日
[国際事務局発表ニュース]
国・地域:ノルウェー
トピック:性的指向と性自認

ノルウェーの保健省が3月18日に提出した法改正案は、同国のトランスジェンダーの人生を何世代にもわたり変えうる画期的なものである。

この改正案が国会で承認されれば、トランスジェンダーは迅速で簡単、明瞭な手続きにより、自認する性(ジェンダー)が法的に認められる。重要なことはこれにより、人は自分の性を自分で決めることができ、差別的で人権を侵害するさまざまな規定を押し付けてきた悪しきやり方と決別することができることである。

ノルウェー政府が、トランスジェンダーの人びとの権利について真摯に受け止めているのは喜ばしいことである。国会には、この法案を通し、何十年にもわたる差別的慣習に終止符を打つことを求める。

性(ジェンダー)の変更と未成年者の法的立場

改正案では、自己の性を決定し法的に認められることのできる年齢を18才から16才に引き下げている。6才から16才の子どもは、親の同意のもとにこれができる。親が同意しない場合、第三者が子どもの最善の利益を考慮して決定する。

この提案では、6才未満の子どもは法的に自己の性を変えることはできない。年齢制限を下げることは前進だが、子どもにとっての最善の利益、子どもの能力は常に進化する点、子どもが話を聞いてもらう権利などを鑑みても、年齢制限がそもそも必要かどうかは疑問が残る。

これまでの手続き

現在ノルウェーでは、人が性を法的に変えるためにはさまざまな面倒で差別的な要件を満たす必要がある。たとえば、精神医学的評価、診断、子孫を残せないようにする性転換手術などを受けなければならない。導入されたのは、1970年代である。

実はこうした手続きは、他のヨーロッパの国でも行われている。アムネスティは、これがいかに屈辱的で人権を侵害するものであるか、訴えてきた。

2008年以来、「ノルウェー全国レズビアン・ゲイ・バイセクシュアル・トランスジェンダー協会(LLH)」は、トランスジェンダーの人びとの権利に絞った活動をしてきており、とりわけ性の変更における手術要件の廃止を求めてきた。法の実現は今、国会にかかっている。アムネスティはすべての国会議員に、国際人権基準に沿って、この包括的、非差別的な法案に票を投じることを求める。

アムネスティ国際ニュース
2016年3月18日

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