- 2020年6月26日
- [国際事務局発表ニュース]
- 国・地域:ノルウェー
- トピック:
(C) artur carvalho / Getty
ノルウェー政府は、6月15日、新型コロナウイルス感染者の接触追跡アプリの利用停止を発表した。プライバシー保護の面で賢明な決定だ。
アムネスティが、欧州、中東、北アフリカにおける接触追跡アプリの利用状況を調査したところ、ノルウェーのアプリ「Smittestopp」が、プライバシーを損なうリスクが極めて高いアプリであることがわかった。アプリ利用者の位置情報が、GPSで頻繁にサーバーに送信され、リアルタイムで利用者の位置が捕捉されるからだ。
6月2日、アムネスティは、調査結果をノルウェーの司法公安省や公衆衛生研究所、個人情報保護機関に伝え、方針転換を訴えた。6月10日には、アプリの開発責任者にも会った。
Smittestoppは、個人情報が漏れやすく、プライバシーの侵害につながりかねない。利用を停止したことは正しい判断だ。プライバシーとのバランスをとりながら感染追跡する方法は複数ある。接触追跡アプリの導入を急ぐ国は、このノルウェーの事例から学ぶべきだ。新型コロナ対策のアプリが普及する中で、プライバシーを犠牲にしてはならない。
背景情報
感染者との接触情報は、パンデミック対策に有効で、接触追跡アプリは、そのツールになりえる。ただし、アプリの設計には、とりわけプライバシーや個人情報の保護の視点が欠かせない。具体的には、個人情報の収集を必要最小限にとどめることと情報の機密性を担保することだ。
情報収集は、新型コロナ対策に限定され、他の目的、例えば、警察活動、国の安全維持、入国管理などに使用されるようなことがあってはならない。また、第三者への提供、あるいは商業目的での使用も認められない。接触追跡アプリの利用は、個人の意思によるものとし、収集されたデータは、他の情報と組み合わせる場合を含め、常に匿名化されていなければならない。
アムネスティ国際ニュース
2020年6月15日
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