- 2017年2月14日
- [国際事務局発表ニュース]
- 国・地域:ケニア
- トピック:
イギリス人のジェローム・スターキー記者が拘束・強制送還されてから2カ月が経過した。ケニア政府は、報道の自由に対する弾圧をすぐさまやめ、同記者の再入国を認めるべきである。2月8日、7つの人権擁護団体が、同国の関係者に書簡を送った。
書簡に署名したのは、アムネスティ、アーティクル19、ジャーナリスト保護委員会、ペンクラブ、ヒューマン・ライツ・ウォッチ、インデックス・オン・センサーシップ、人権のためのムスリム(MUHURI)、国際ペンクラブ、国境なき記者団の7団体。原本を内閣官房長官に、写しを法務長官、検察庁長官、警視総監、司法行政委員長、ケニア人権委員会に送った。
書簡の中で、スターキーさんがケニアに戻り、記者活動を再開できるよう、そして政府が繰り返し約束してきた表現の自由と報道の自由を公に再確認するよう求めた。
国際的に知られるスターキー記者が、正当性に疑問のある状況で拘束・国外追放され、同国での活動を続けられないのは、まったく道理に反する。しかも今回の措置は、記者に対する嫌がらせや抑圧のほんの一例に過ぎない。
ジャーナリストは、身の安全を脅かされることなく各種取材や報道行為を認めなければならない。選挙中でもそれ以降でも、同国は、報道の自由を守ることを宣言し、ジャーナリストの弾圧を捜査し、弾圧を加えた関係者を司法の手にゆだね、自由の順守を態度で示すべきである。
書簡ではまた、2015年の地元紙編集者ジョン・キツイさんの殺害をはじめとした報道関係者への襲撃行為を、徹底的かつ公正で透明性のある捜査を行うよう求めている。
スターキーさんは、英タイムズ紙のアフリカ特派員で、ケニアでは5年間駐在し活動していたが昨年12月8日、ナイロビ空港で拘束され、説明もないまま英国に送還された。
タイムズ紙がケニア高等弁務官事務所に繰り返し説明を求めたところ、広報担当者が1月10日付の書簡で、労働許可申請が認められなかったため送還された、と説明した。しかし、ジェロームさんはそれまで入国管理局から、決定はまだだと言われていた。そして送還から6週間以上経って、入国管理局から入国許可と労働許可が認められないとの通知が届いた。消印の日付は1月23日だった。
人権擁護団体は、当局にこの不許可を取り下げ、ケニアでの活動再開を認めるよう求めている。
この書簡は、過去1年間のジャーナリストや人権活動家への嫌がらせや活動妨害などの複数の事例にも触れている。事例をいくつか紹介する。
- K24テレビのダンカン・ワンガ記者は昨年9月、エルドレットで抗議デモを取材中に、警察に暴行を受け、カメラを壊された。
- 人権活動家で、受賞歴もある報道写真家のボニフェース・ムワンギさんは昨年10月、ルト副大統領が実業家の殺害に関係しているとするツイートをして、名誉棄損で訴えられた。その後、殺害の脅迫を受け、一時国外に逃れた。
- デイリーネーション週末版のデニス・ガラバ編集長(当時)は昨年の元日、政府を批判する社説を書いたことで解雇された。雇用主の「国家報道グループ」は、「本来の社説を書く手順に従わなかったから」と説明した。ガラバさんは、同社を不当解雇で訴えた。
アムネスティ国際ニュース
2017年2月8日
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