パラグアイ:不当な殺人容疑の農民に無罪

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2018年8月 3日
[国際事務局発表ニュース]
国・地域:パラグアイ
トピック:

パラグアイ最高裁判所は7月26日、6年前の警官隊による農民の強制退去をめぐり殺人罪に問われていた農民11人の裁判で、有罪判決を破棄して無罪を言い渡した。人権の視点に立った画期的な判決である。

2012年6月15日、カニンデジュ県クルグアティで、警察官300人以上が、銃器を含む過大な力と拷問などの暴力で、農業で細々と生活する住民およそ70人を強制退去させた。この強引な対応で、農民11人と警察官6人が命を落とし、警察の不要で過度の武力の行使に対して、国内外の団体から激しい非難が集まった。

当局は、警察官の死亡のみを事件と取り上げ、ごまかしの捜査と違法な手続きの挙句、農民11人を犯人と断定し、訴追した。根拠なき殺人容疑で農民が訴追されたことは、国内外に衝撃を与えた。

今回最高裁は、被告11人の容疑を立証できないとして有罪判決を覆し、即時釈放を命じ、再審を認めない決定をした。農民たちが、正当な審理を求めて6年間闘い抜いた末に、勝ち取った無罪判決だった。本当に喜ばしい。

しかし、農民11人の殺害に対する捜査がまだ残っている。これまで当局は、農民の死亡の捜査を拒否してきたが、その加害者の処罰と遺族への補償は、当局の義務だ。

今回の判決で、米州人権裁判所の力強いメッセージを想い起こす。「国は、人命の損失にあたり、あらゆる角度から実効性をもった捜査を行う義務がある。公務員が関わっているときは特にそうだ。さもなければ、不処罰の風潮が生まれ、加害者が罪を問われない事態が繰り返されかねない」

アムネスティ・パラグアイ支部は2年前から、国に対して、農民11人の死亡に対する真相究明、加害者の特定と裁き、農民への補償などを求めてきた。アムネスティは、引き続き同国に対して、この事件で行われたすべての人権侵害の徹底捜査と加害者の処罰を要請する。

アムネスティ国際ニュース
2018年7月27日