- 2019年7月 2日
- [国際事務局発表ニュース]
- 国・地域:ポーランド
- トピック:
欧州連合(EU)司法裁判所は6月24日、最高裁判所判事の定年を引き下げるポーランドの改正法について、EU法に違反するとの判断を下した。
昨年4月に施行された問題の法律は、最高裁判事の退官年齢を70才から65才に引き下げるもので、3分の1の判事が退職を余儀なくされることになる。
EUの最高裁にあたる司法裁判所は昨年11月に、暫定的な措置としてポーランド当局に対して昨年4月以前の最高裁の判事に戻すよう命じていた。
アムネスティは、同法は司法の独立を定めたEU法に違反すると主張してきたが、今回の判断はその主張を確認する形となった。
ポーランド政府は、「司法改革」の名のもとにさまざまな取り組みをしており、最高裁に関する法改正もその一つだ。しかし、この法改正は、司法の政治的介入に他ならず、司法の独立性を脅かすものだ。
これに対して、欧州が各種の対応を取ってきたにもかかわらず、ポーランド政府は、「改革」に否定的な判事への嫌がらせや懲罰の手を緩めなかった。
ボーランド政府は、以前のようにEU法を遵守する姿勢に転換すべきである。今回のEU司法裁判の判決は、同国のみならず、人権侵害を犯しても問題ない、責任を問われることもないと考える他のEU諸国に対しても重要な意味を持つ。
EU司法裁判所に続いてEU加盟国も、ポーランド政府に対してその政策の転換と司法の独立性回復を求める強力な働きかけをすべきである。
背景情報
アムネスティは、ポーランドが「司法改革」に着手した2016年から、同国の司法の状況を調査し、報告書も出した。
2017年、欧州委員会は、ポーランドに対しEUでの議決権停止などの制裁発動の可能性がある手続きを開始した。
さらに昨年9月、最高裁の人事に踏み込んだ改正法は、司法の独立を定めたEU法に違反するとして、ポーランド政府をEU司法裁判所に提訴した。EU司法裁判所は、翌10月に欧州委員会が求めた暫定措置を承認した。その結果、ポーランドは、最高裁の人事を昨年4月3日以前の状況に戻すことを求められた。
今年に入ると、判事に対する懲罰的な制度は人権侵害にあたるとして、新たな法的措置手続を開始した。
欧州委員会はじめ、国内外のさまざまな団体や機関の呼びかけに対して、ポーランド政府は、これまでなんの前向きな対応も示していない。
アムネスティ国際ニュース
2019年6月24日
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