- 2020年11月19日
- [国際事務局発表ニュース]
- 国・地域:ペルー
- トピック:
(C) Photo by Renzo Salazar/Getty Images
アムネスティは、政治的危機にあるペルーで11月10日から始まった抗議デモの様子を撮った複数の動画を分析した。分析の結果、国家警察が、デモ隊に過剰で不必要な力を行使している事実を確認した。動画は、警察が守るべき市民に暴力を振るったことを示す動かぬ証拠だ。
入手した情報によると、11月12日には複数の都市に拡大した一連の抗議デモで、15人以上の市民が負傷し、うち3人は、銃弾を受けて重傷を負ったという。さらに、私服警官が、デモ参加者を法的根拠もなく逮捕したり、治安部隊が、市民に虐待を加えたりしたという情報もある。
国家警察によると、警官11人が鈍器で殴られて負傷し、「警官らに妨害、威嚇、反抗的行為を働いた」不特定多数の市民を拘束した。
アムネスティが確認したところでは、警官による発砲、催涙ガスの発射、殴打や押さえつけなどの暴力的行為が、不必要かつ過度に、また国際人権基準に反して行われた。
11月12日の夜、リマの最高裁判所の周辺でデモがあった時、数人の警官が市民に照準を定めて発砲するのが確認された。一本の動画では、壁になって立ちはだかった警官隊の一人が、「あいつを殺せ!」と叫ぶ中、警官数人が銃を4回発砲していた。同じ場面を撮った別の映像では、同じ警官隊がデモの一群に何回も発砲し、さらに別の動画では、一人の警官が、至近距離からデモ参加者に発砲していた。
ペルーでは国会が大統領を突然罷免したことに対し、大規模な抗議活動が起きている。混乱を受け、新しく就任した大統領もすぐに辞任した。この政治的危機は、抗議行動に対する暴力的な鎮圧で人権危機を引き起こしている。当局は、政治的利害を超えて、市民の安全を優先しなければならない。また、デモの弾圧を即刻停止し、平和的デモの権利を保障し、動画が示す人権侵害の疑いについて、公正で徹底した捜査を早急に実施すべきだ。
治安当局が平和的抗議行動に過剰な力を行使したという状況では、ジャーナリストと人権活動家の役割が、非常に重要であることを強調しておきたい。その点で、国家人権調整委員会の委員に対して脅しや威嚇行為があったという報告が複数件寄せられていることに、アムネスティは強い懸念を覚える。実際、デモ鎮圧中に、少なくとも4人のジャーナリストが負傷している。
また、過剰な力を行使した警官が不処罰になる余地を残す警察保護法は、国際法違反であり、アムネスティは、司法当局に対して同法を適用しないよう求める。
アムネスティ国際ニュース
2020年11月13日
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