ボスニア・ヘルツェゴビナ:ムラディッチ元司令官の終身刑確定 歴史的正義

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2021年6月14日
[国際事務局発表ニュース]
国・地域:ボスニア・ヘルツェゴビナ
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(C) getty
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ボスニア・ヘルツェゴビナ紛争中に行ったジェノサイド(集団虐殺)など重大な罪に問われていたセルビア勢力の元司令官ラトコ・ムラディッチ被告の上訴審で、旧ユーゴスラビア国際刑事法廷(旧ユーゴ法廷)の機能を引き継いだ国連国際刑事法廷メカニズムは、6月8日、同被告に終身刑を言い渡した。一審の旧ユーゴ法廷の終身刑判決を踏襲した判断が示され、刑が確定した。

同被告が問われていた容疑の中でもジェノサイド、人道に対する罪、戦争犯罪は、第二次世界大戦後のヨーロッパで行われた国際法違反の行為の中で最も重い罪になる。国際刑事法廷メカニズムが下した有罪判決は、重大な罪を犯せば必ず処罰されるという強いメッセージでもある。

判決は、生き残った人たちや亡くなった人たちの遺族にとって一つの区切りになるが、彼らが負った心身の傷が癒やされることはない。さらに、数千の市民が強制失踪した事件はいまだに未解決で、被害者とその家族の正義、真実、補償への壁は立ちはだかったままだ。

旧ユーゴ法廷は、旧ユーゴスラビアの紛争での犠牲者に正義を果たすことに貢献し、国際社会が結束することによる可能性を示した。

各国の裁判所は、今回の判決が示した正義のバトンをしっかりと受け取り、重大な人権侵害を行った疑いのあるすべての者に対する公正な裁判の実現に一層の努力を傾けるべきである。

背景情報

旧ユーゴ法廷は、ムラディッチ被告のボスニア・セルビア軍の司令官としての刑事責任と、サラエボ市民を恐怖に陥れ、スレブレニツァでボシュニャク人を抹殺するなどの犯罪行為への加担を認め、2017年11月に終身刑を言い渡した。

上訴審は、11件中10件の犯罪容疑で有罪とした一審の判決を支持した。犯罪と認定された10件には、宗教や民族を理由としたボシュニャク人とクロアチア人に対するジェノサイド、迫害、殺人、国外追放などの非人道的行為が含まれる。また、民間人に対する殺人、テロ、違法な攻撃、人質行為などでも被告に有罪を言い渡した。一方、1992年にあった6地域でのジェノサイドについては、無罪とした。

国際刑事法廷メカニズムの上訴審は、被告と検察のいずれの上訴も退けた。

アムネスティ国際ニュース
2021年6月8日

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