- 2022年7月12日
- [国際事務局発表ニュース]
- 国・地域:セネガル
- トピック:
セネガルではデモが繰り返し禁止され、抗議する人たちが死亡するなど、抗議する権利が脅威にさらされている。アムネスティはセネガル当局に、集会の権利の保障、デモ参加者が死亡した件への公正な捜査、治安部隊や軍による過剰な力の行使の禁止を求めている。
ダカール県で野党連合「人民解放」(YAW)の呼びかけで6月17日に予定されていたデモは、公共の秩序を乱すという県の命令で中止になった。その9日前には、同じ野党連合によるデモが平和裏に行われていたにもかかわらずだ。
セネガル当局は、セネガル憲法と国際法に明記されている集会の権利を保障し、何よりも西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS)裁判所の3月31日の判決に従って、ダカール中心部での「政治デモ」を禁止する省令を取り消すべきだ。
6月17日のダカール県での抗議デモで、デモ参加者がバリケードで封鎖されていたナシオン広場に入ろうとしたとき、暴力が始まった。ビニョナ県とジガンショール県でも同様の暴力があった。この日、3人のデモ参加者が命を落とした。
増える犠牲者
イドリッサ・グディアビーさん(43歳)は、ジガンショール県南部であった抗議デモの最中に死亡した。亡くなってから10日経っても、死因が記載された検案書が家族に公表されないばかりか、遺体の返還もなかった。
アムネスティは、グディアビーさんが亡くなった時の状況について家族に話を聞いた。兄は、「イドリッサは子どもたちを迎えにいくために出かけていた。デモには参加していない。近所の遊んでいた子どもたちを家に連れ戻そうとしていた」と話す。
グディアビーさんの遺体を病院に運んだ人たちの話では、銃弾が首に命中し、出血がひどかったため、近くの人たちが病院に運んだという。
アルバート・ディアタさんは、ビニョナ県であったデモ中に命を落とした。家族の話では、やはり銃弾を受けて亡くなり、遺体は当局からまだ戻っていないということだった。
別の1人が、6月17日の抗議デモ中に亡くなっているが、身元はわかっていない。報道機関が話を聞いた複数のデモ参加者によると、警察による催涙ガス弾が当たったとされるマットレスが燃えて火災が発生し、1人が死亡したという。しかし警察は、「犠牲者はタイヤを燃やそうとしていたが、手違いで火災事故を起こした」と声明を出している。
治安部隊によるデモ参加者への力の行使は、法と秩序の維持という目的に沿っていなければならず、自分や周囲の身に差し迫った危険がある場合を除いては、銃器の使用は違法だ。
恣意的逮捕
ダカールで6月1日にあったデモでは、議員や市長を含む多数が逮捕された。市長は6月27日の裁判で、「非武装集会に参加」したとして実刑1カ月を言い渡された。議員の1人はダカールの自分が所属する党本部前で、別の議員はダカール市長邸前で逮捕された。1人は無許可デモに参加した罪で6カ月の執行猶予付き判決を受け、同じ容疑を受けていた他の83人は無罪を言い渡された。これらの人たちは、デモの参加または参加を呼び掛けたというだけで逮捕され罪を問われた。
6月18日、ジガンショール県の議員候補者の一人も、無許可デモへの参加で逮捕され、他の町からデモに参加した33人は、ジガンショール憲兵部隊で勾留されている。集会の権利を行使しただけで逮捕や起訴されるようなことをあってはならず、関係当局は、不当な逮捕を即時無条件に解き、根拠のない容疑に基づく起訴を取り下げるべきだ。
背景情報
憲法評議会が次の議会選挙に野党候補を認めない決定をしたことを受け、反発した野党の主導で憲法評議会の決定を糾弾するデモが6月17日、ダカール県ほか各地で予定された。
昨年3月にも複数の町で抗議デモがあり、セネガル赤十字によると、5日間の抗議デモで14人が犠牲になり、600人以上が負傷した。デモは強かん容疑で告発された野党党首が裁判所に出頭する途中に逮捕されたことを受けたものだった。
アムネスティは、「セネガルの暴力的なデモ弾圧の犠牲者に正義を」というキャンペーンを展開し、セネガル政権に対して独立した迅速な捜査と、治安部隊員が過剰な力の行使を疑われる場合は、その隊員の訴追を求めている。
アムネスティ国際ニュース
2022年6月29日
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