セネガル:2024年の選挙を控え強まる弾圧

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2023年3月29日
[国際事務局発表ニュース]
国・地域:セネガル
トピック:表現の自由

セネガル政権は、2024年の大統領選挙を前にして市民への弾圧を強めている。市民の行動を制限し、抗議活動を禁止し、ジャーナリストや野党関係者らを拘束するなど、表現の自由などの権利を行使する人びとへの取り締まりや弾圧は激しくなるばかりだ。

野党PASTEFのウスマン・ソンコ党首は3月16日、観光大臣に名誉毀損の疑いで民事訴訟を起こされ、ダカールの法廷に出廷した。裁判所に車で向かう途中、警官から催涙ガスを浴びせられて止められ、裁判所までの運転を取って代わられた。

裁判が始まると、ソンコ党首支持派の市民と警官隊との間で衝突が発生し、裁判は3月30日に延期された。ソンコ党首が有罪判決を受けた場合、2024年の選挙に立候補することができなくなるおそれがある。

3月15日以降、警察の監視を受けたソンコ党首は、出廷時以外は自宅から一歩も出られず、野党関係者らと会うこともできなかった。一方で野党議員の1人が、ソンコさん宅を訪れようとして警察の催涙弾を浴びることもあった。

セネガルではこの数カ月間、政治家やメディアの政権批判に対する締め付けが続いている。

ハジブー・スマレ元首相が3月9日、マッキー・サル大統領に送った質問状が問題視され、名誉毀損容疑で拘束された。質問状は、「他者への憎悪と拒絶」で知られるフランスの政治家(右翼政党「国民連合」のマリーヌ・ルペン前党首を指しているとみられる)に1200万ユーロ(およそ16億9千万円)の寄付をしたとされる疑惑について大統領に質していた。質問状を受けて政府は、その疑惑を「卑怯で根拠がない」と決めつけ、スマレ元首相は逮捕された。

別の運動に参加する活動家の男性は、2月6日に自宅で逮捕された。男性は、公共の安全を脅かし、深刻な政治不安を引き起こすおそれがある活動に資金提供した罪に問われている。逮捕前、男性は同じ運動体の会員や現政権に解雇された公務員を支援するため、クラウドファンディングで資金提供を呼びかけていた。

昨年11月、PASTEF党の幹部が12月7日に逮捕され、偽ニュースの流布と「国家機関の怒りを買う発言」で告発された。上級准尉と軍情報部員の強制失踪について政府筋が関与した疑惑をフェイスブックに投稿した後のことだった。強制失踪に遭った軍情報部員の遺体は昨年11月、海上で漂流しているところを発見された。この幹部は現在も拘束されたままで、3月16日からハンガーストライキを続けている。

放映停止と抗議活動の禁止

3月3日、Walf TVの記者は、2021年2月にソンコ野党党首に対する強かん疑惑についてテレビで発言し、その後警察の尋問を受けて逮捕された。同記者によると、次席検事のほとんどが野党党首に対する訴訟の取り下げに賛成しているという。

セネガルではこの数カ月間、反政府勢力による抗議活動が、公共の秩序を乱すおそれがあるとして禁止されてきた。2月10日、ムバケで予定されていた野党PASTEFの会合が禁止され、その結果一部で暴力的なデモが起こり、デモ参加者と治安部隊が衝突した。この衝突で拘束された69人のうち、54人が「無許可の集会への参加」や「公共財産の損傷」などの容疑でおよそ1カ月間、勾留された。

一方、テレビ局Walf TVはデモ報道が無責任だとして、国家視聴覚規制委員会により7日間の放送停止処分を受けた。

2021年3月に一部地域で暴徒化した抗議活動が当局の激しい弾圧を受けてから、約2年が経った。当局の暴力で14人(うち子ども3人)が亡くなり、14人のうち12人は、治安部隊の発砲を受けていた。しかし、当局の捜査はまったく進んでいない。また今年2月にビニョナ県であった抗議活動では、参加者2人が治安部隊の暴行を受けて重傷を負っている。

セネガルでは全土で集会と表現の自由の権利が脅かされている。抗議活動に不当な力を行使した疑いがある者は、法廷での裁きを受けなければならない。来年の大統領選挙を控え、適切な人権の尊重・保護・促進が欠かせない。

アムネスティ国際ニュース
2023年3月17日

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