2025年 日本の人権状況

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2026年5月16日
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アムネスティは毎年、各国の人権状況をまとめた報告書を出している。ここでは日本の状況を簡潔に紹介する。

■概況

およそ3年ぶりの死刑執行があった。選挙では、排外主義的かつ差別的な発言が目立った。強制不妊手術に関して被害者への補償を定めた新法が成立した。新たな移民政策案では、強制送還の手続きの迅速化が提案された。日本が投資を継続している海外の化石燃料プロジェクトは、先住民族の権利を侵害し、化石燃料の段階的廃止に向けた取り組みを脅かしている。同性婚の平等やトランスジェンダーの人びとの権利をめぐる法廷闘争では、判決の結果はまちまちであったものの、おおむね前向きなものとなった。

■背景情報

10月に、保守的な価値観で知られる高市早苗氏が、日本初の女性首相に選出された。

■死刑

6月27日に9件の殺人罪で有罪判決を受けた29歳の男性が絞首刑に処せられた。これは日本で約3年ぶりの死刑執行だった。人権団体はこの処刑をこぞって非難した。

■差別

7月、日本では参議院議員選挙が行われた。選挙運動期間中、街頭でもインターネット上でも、女性、トランスジェンダーの人びと、そして外国人に対する排外主義的かつ差別的な発言が相次ぎ、排他的な言説が広く使われた。アムネスティ日本を含む人権NGOは、これらの選挙運動が、在日外国人やマイノリティに対する排外主義、ヘイトスピーチ、誤った情報を煽るものだと批判した。

■障がい者の権利

日本は1月17日に、不妊手術を強制された被害者に対し補償金を支払う法律を制定した。1948年に制定された旧優生保護法の下で、「不良な子孫」を産むとみなされた推定8万4000人に対し、同意なしに不妊手術や人工妊娠中絶手術が実施された。その中には障がい者も含まれていた。この新たな補償法は、2024年7月に最高裁判所が旧優生保護法を違憲とする判決を下したことを受けて制定されたもので、前文には政府による謝罪が盛り込まれている。多くの被害者にとって、古い診療記録など、請求に必要な証拠を集めるのは大変なことだった。2025年11月末時点で、承認された請求はわずか1,560件にとどまっている。被害者団体は、自分が手術を受けたことさえ知らなかった人びともいたと指摘している。

■難民・移民の権利

5月に発表された日本の移民政策「ゼロプラン」は、強制送還を迅速化するなどの措置を通じて、出入国管理及び難民認定法(入管法)の執行を強化する方針を示している。この「プラン」は、2030年までに、在留資格期限の切れた外国人の数を半減させることを目標としている。人権活動家たちは、強制送還の件数に重点が置かれている点を批判し、この政策が庇護希望者を危険にさらす可能性があると主張した。また入管法は、国際法に違反して、出入国在留管理局が人びとを恣意的に無期限に施設に収容することを依然として認めている。

12月、カシミール出身のパキスタン人ムスタファ・カリルさんを強制送還した。それまで同氏は累計12年半にわたり収容されており、健康状態が著しく悪化していた。

また、2021年に名古屋市の入管収容施設で死亡したスリランカ出身の庇護希望者ウィシュマ・サンダマリさんの死について、責任を否定し続けた。遺族は2月に政府に対し、彼女の死に関する全映像の公開を求める2度目の訴訟を起こした。政府は、故人のプライバシー権や映像処理のためのリソース不足などを理由に挙げ、引き続き開示を拒否した。

■健康的な環境への権利

日本は液化天然ガス(LNG)として知られる化石ガスの採掘プロジェクトを海外で推進し続け、化石燃料への依存を減らすための世界的な取り組みを損ね、関連施設周辺で暮らす地域社会の権利を脅かしている。

7月には、カナダの先住民族ウェトスウェッテンの世襲首長たちが、日本政府系金融機関である国際協力銀行および三菱商事に対し、気候に悪影響を及ぼし、先住民族の権利を侵害しているLNGカナダプロジェクトへの資金提供を中止するよう求める正式な異議申し立てを行った。

2月7日に開催された日米首脳会談では、米国から日本へのLNG輸出を増加することで合意したほか、米国アラスカ州での新たなLNG採掘プロジェクトを推進する計画も盛り込まれた。この動きに対し、環境保護団体や人権団体からは、気候への影響や先住民族グウィッチンの人びとの権利への影響が懸念されるとして批判の声が上がった。

海外における日本政府支援の「グリーンエネルギー」プロジェクトは、再生可能エネルギーへの公正な移行を妨げているとして批判された。インドネシアで気候変動問題に取り組む団体および市民社会グループの計6団体は、国際協力機構(JICA)に対し、LNG事業、二酸化炭素回収、水素やアンモニアを混焼させる石炭火力発電などのプロジェクト中止を求める書簡を送付。こうしたプロジェクトがインドネシアに誤った気候変動対策を押し付け、化石燃料への依存を長引かせ、地域社会に害を及ぼしていると主張した。

■先住民族の権利

人種差別撤廃委員会は5月12日、沖縄県での新たな米軍基地の建設に関連して早期警告の書簡を送付し、琉球・沖縄の先住民族の健康権および清潔で健全かつ持続可能な環境を享受する権利を脅かすと指摘した。

■LGBTIの人びとの権利

名古屋と大阪の高等裁判所は、3月に、同性婚を認めないことは憲法違反であるとの判決を下した。それまでに、国内の5つの高等裁判所が同様の判決を下していた。しかし、11月、東京高等裁判所は、同性婚を認めないことは憲法に違反しないと判断した。この判決は、同性婚の合法化への期待を高めていた一連の高等裁判所の判決に逆行するものとなった。

一方で9月には、札幌家庭裁判所が、トランスジェンダーの人びとが法的性別を変更するために性器の形状を変更することを義務付ける「外観要件」が違憲であるとの国内初の判決を下した。

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