- 2005年7月26日
- 国・地域:英国
- トピック:「テロとの闘い」における人権侵害
メネゼス氏はブラジル国籍で、3年間英国で働いていた。当初、警察はその声明の中で、メネゼス氏は7月7日にロンドンで起こった、50人の死者を出した爆破事件に関連する容疑者としていた。しかし、7月24日、ロンドン警視庁警視総監は、同氏がいかなる容疑にも関与しておらず、誤って射殺されたと断言した。最初の目撃者の話によると、メネゼス氏は床面に押さえつけられてから頭部に5発撃たれた。アムネスティは、同氏の悲劇的な死について、ご家族と友人たちに最も深い哀悼の意を表する。
警察独立不服申立委員会は、銃撃の状況についての調査を開始した。アムネスティは、今回の銃撃事件は、治安強化を背景として起きたものであると理解している。アムネスティは、調査の進捗状況を注意深く見守る。そして、銃撃にいたった状況が徹底的に調査されることを求める。調査項目には、「クラトス作戦」という暗号名がつけられているという自爆攻撃者だと思われる容疑者の頭部を撃って射殺することを警官に許可している方針について、どのような規則が設けられているのかといったことや、どのようにそのような作戦が立案されたか、警官に対してどのような指導と命令が与えられているのか、銃撃の実施前に上官の確認がとられたか否か、十分な警告が事前に行なわれていたか、当該銃撃が法執行官による火器の使用に関する国際基準に十分沿ったものだったのかどうか、といった点が含まれなければならない。とりわけ、アムネスティは、ジェアン・シャルレス・デ・メネゼス氏の殺害が合法的だったのかどうかについてはっきりさせるために、ロンドン警視庁と治安機関など、関係する諸機関、国家機関の活動について徹底的な公開調査を行なうよう要請する。
調査は、迅速で徹底し、独立・公正なものでなくてはならず、国際基準に沿ったものでなくてはならない。それには、超法規的、略式、恣意的処刑に関する効果的予防と調査に関する国連原則、生命権を謳っている人権及び基本的自由の保護ための欧州条約第2条に基づいた欧州人権裁判所の判例などを含む。とりわけ、この調査では、行使された武力がその状況に対応する手段として絶対的に必要かつ適切なものであったかどうかを考慮すべきである。英国政府は今回の事件について、市民に対する十分な説明責任を果たすべきであり、このような事件を繰り返さないための教訓を学び取らなければならない。
アムネスティ発表国際ニュース
(2005年7月25日)
AI Index: EUR45/027/2005
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