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ヨルダン:死刑の執行を中止し、被拘禁者からの拷問の申し立てを全て調査せよ

2006年3月16日
国・地域:ヨルダン
トピック:死刑廃止
アムネスティ・インターナショナルは、2006年3月11日に行なわれた2人の囚人の処刑を非難し、他の死刑囚に恩赦を拡大適用することをヨルダン当局に求める。

サレム・サアド・ビン・スウェイドとヤセル・ファティ・イブラヒム・フレイハットの2人はスワカ刑務所で処刑された。2人は2002年10月に首都アンマンで起きた米外交官ローレンス・フォーリー氏射殺事件に関与したとして有罪となり、2004年に死刑判決を受けた。報道によれば、国家治安法廷(SSC)で受けた裁判は公正ではなかったという。2人は、アンマンのワディ・シールにある総合情報部の拘禁施設で1カ月以上も隔離拘禁されていた間に、「自白」を引き出すために拷問されたと法廷で主張した。同じ刑務所にいた5人の囚人も、2人が拘禁刑の判決を受けた3人の共同被告人とともに拷問されており、身体に拷問の跡があるのを見たと、拷問を裏づける証言したという。しかし拷問の証拠があるにもかかわらず国家治安法廷は被告人に有罪判決を言い渡した。ヨルダンの刑法では、自白が唯一の証拠である場合は、自白が暴力や強要によって得られたものでないことを裁判所が確認しなくてはならないとしている。したがってこれは明らかな法律違反である。被告人は上訴を棄却されたが、破棄院(上訴裁判所)もまた同様に、拷問の申立てに対する適切な対応を怠ったようであった。

米外交官射殺事件に関与したとして、さらにもう1人が死刑判決を受けるのではないかとアムネスティは懸念している。ムアマル・アフメド・ユースフ・アル・ジャビルは、イラクで逮捕され米軍によってヨルダンに送還された。メディア報道によれば逮捕は2004年だったということである。彼は現在、国家治安法廷で裁判を受けている。彼が言うには、総合情報部で少なくとも3カ月にわたり独房に隔離監禁されている間に「自白」調書に署名するよう強制されたという。内容を読むことは許されなかった。手錠をされたまま、繰り返し蹴られたり棒で殴られたりといった拷問を受けたという。

またアムネスティは、1999年末から拘禁されているハデル・アブ・ホシェルとウサマ・フスニ・カメル・サマルに対する死刑判決も減刑するよう、政府に要請する。破棄院は国家治安法廷にこの事件を差し戻し、1999年の王室恩赦の該当者である可能性があることを理由に再審を指示したが、2005年1月、国家治安法廷では死刑判決に対し4度目の支持を決定した。この2人を含む10人の男性は、爆発物製造や、ユダヤ人および米国人を標的とした攻撃のための人集めなど、ヨルダン国内で爆弾攻撃その他の暴力犯罪の実行を企てたとして、2000年に有罪判決を受けた。彼らは、総合情報部で隔離拘禁されて尋問を受けている時に強要されて「自白」させられたと主張している。親族や弁護士が初めて面会した時、身体に拷問の跡があったという。裁判でハデル・アブ・ホシェルは、「とても苛酷な尋問方法」を用いられ、彼以外の被告人たちはホシェルに不利な証言をするように「拷問と脅迫を受けた」と述べた。サエド・ヒジャジなどこの事件の他の被告人たちも、長期間にわたって拷問や虐待を受け、「自白」を強要されたと述べた。被拘禁者に足かせをして激しく殴るなどの拷問方法が用いられたという。アムネスティが知るかぎり、拷問の申立てに対しては、何の医学的検査も調査も命じられていない。

アムネスティは、残虐で、非人道的かつ品位を傷つける取り扱いの究極の形態であることから、あらゆる死刑に反対している。また同時に、被告人が拷問を受けたり、さらには公正な裁判を受けられないという状況においては、死刑の持つ問題点が一層大きくなるとアムネスティは考えている。国家治安法廷での裁判手続は国際基準を満たしていない。2005年には、同法廷で裁判を受けた数十人の被告人が「自白」は拷問によって引き出されたものだと主張した。しかし国家治安法廷も破棄院もこのような申立てを無視することが多い。超法規的、即決あるいは恣意的処刑に関する国連特別報告者は2002年に提出した国連人権委員会への報告書の中で、「死刑判決に直面している被告人は裁判手続の各段階で適切な法的代理人を得る権利を十分に行使できなければならず、合理的な疑いを超えて有罪が証明されるまで無罪の推定を受けなければならない。こうした保障は、例外または差別なく、すべてのケースにおいて実施されなければならない。」と述べた。(国連文書No. E/CN.4/2002/74、2002年1月9日、第119段落)

ヨルダンでは2005年に11人が、そして今年になって少なくとも3人が処刑された。2005年11月にアブドラ国王がイタリアの新聞に対し、ヨルダンでまもなく死刑が廃止される可能性があると語ったことをアムネスティは歓迎する。また別の進展として、ヨルダン政府は、2005年12月15日、同一の殺人事件について、まったく関連のない2件の裁判によって2人の男性が死刑判決を受けたという申し立てを調査すると発表した(『ヨルダン:死刑判決を減刑し、執行を停止せよ』(MDE
16/003/2005、2005年7月8日)を参照)。こういった前向きな発言が、同国の死刑廃止を視野に入れたすべての死刑の執行停止につながることをアムネスティは期待する。

アムネスティは、どのような意味においても暴力犯罪を許すものではなく、ローレンス・フォーリー氏の殺害など、犯罪行為に関与したと疑われた人を裁判にかける権利が政府にあることを認めるものである。しかし、死刑が他の刑罰よりも効果的に犯罪を抑止するという証拠はない。殺人事件の被害者の遺族や友人に対して、アムネスティは最大の共感と思いやりを持つが、死刑がこうした人びとの苦痛をやわらげることはほとんどない。その上、死刑は取り返しがつかず、無実の人に適用されることがある。

アムネスティ国際ニュース
(2006年3月14日)
AI Index: MDE 16/003/2006

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