- 2006年6月 8日
- 国・地域:フィリピン
- トピック:死刑廃止
フィリピンは、アジア太平洋地域で法律上あるいは事実上死刑を廃止する25番目の国となる。アムネスティはアロヨ大統領に、この法案に署名し法律として発効させるよう求める。
6月6日、フィリピンの両院は、共和国法第7659号の廃止を採決した。今週末に国会は閉会する予定である。
フィリピンの国会は、死刑を廃止する機会を逃さず、生きる権利という基本的な権利を尊重することを率先して約束した。アロヨ大統領もこれにならい法律を発効させるよう、アムネスティは求める。
4月15日、アロヨ大統領はすべての死刑判決を終身刑に減刑した。これは現代では最大規模の減刑であったと考えられている。その4日後、大統領は死刑廃止法案は急を要するものであると述べた。
フィリピンが死刑を廃止すれば、法律上あるいは事実上死刑を廃止する、世界で125番目の国となり、世界的な死刑廃止の潮流に合流することになる。フィリピンの死刑廃止がきっかけとなって、近隣の死刑存置国が追随することをアムネスティは望んでいる。
人権侵害の被害者にかかわる団体として、アムネスティは犯罪被害者の家族の苦しみも理解している。しかし研究によると、死刑は、貧しい人びと、ほとんど教育を受けていない人びと、社会的に最も弱い立場の人びとに対して言い渡される比率が不均等に高い。また死刑は、更生できたかもしれない犯罪者の生命を奪う。アムネスティは、死刑廃止のための政府のあらゆる動きを歓迎するが、死刑の代替刑が、それ自体、拷問あるいはその他の残虐、非人道的または品位を傷つける刑罰になってはならないということを強調しておく。
背景
フィリピンは1987年、近代以降のアジアで初めて死刑を全面的に廃止した国であったが、1993年末に46の犯罪について死刑を復活させた。1999年には執行も再開したが、2000年エストラダ大統領が執行停止を宣言し、アロヨ現大統領も任期中これを事実上継続していた。
アムネスティ国際ニュース
(2006年6月7日)
AI Index: ASA 35/004/2006
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