- 2023年5月23日
- [国際事務局発表ニュース]
- 国・地域:フィリピン
- トピック:
元上院議員レイラ・デリマさんは薬物取引に関与したとして2件の罪に問われてきたが、その1件の裁判が5月2日にあり、モンテンルパ市の裁判所はデリマさんに無罪を言い渡した。
2017年2月に捏造された薬物関連容疑2件で逮捕・勾留されてきた人権活動家のデリマさんにとって待望の無罪判決だった。審理が一向に進まない中、デリマさんは恣意的な拘束や人権侵害に耐えてきた。
当局はデリマさんのもう1件の容疑を取り下げ、保釈手続きを速やかに実現する必要がある。そして直ちに保釈し、デリマさんが家族や友人、支持者と再会できるようにすべきだ。
デリマさんの逮捕以来、アムネスティをはじめとする多くの団体が、容疑はでっち上げであり、表現の自由を行使したにすぎないと訴えてきた。1日たりとも勾留されてはならなかったデリマさんには、勾留中に被った人権侵害に対して十分な補償が与えられるべきだ。
マルコス政権は関係当局に6年を超えるこの不当な勾留の責任を問う必要がある。デリマさんは、自由、推定無罪、公正な裁判などの権利を侵害されてきた。
背景情報
薬物関連のもう1件の容疑では、デリマさんの保釈申請への判断が延期された。釈放には、もう1件の容疑での保釈が認められなければならないが、いつ判断が下るかは不明だ。
デリマさんは、ドゥテルテ前大統領の政権下での人権侵害を最も厳しく批判してきた1人だったが、2017年2月24日に薬物関連容疑で逮捕されて以来、勾留が続いてきた。逮捕されて以降、アムネスティや他団体は、デリマさんの容疑も証人の証言もねつ造であることを繰り返し主張してきた。
ドゥテルテ元大統領政権下では、麻薬撲滅の名の下で殺害や超法規的処刑が行われていた。人権活動家でもあるデリマさんは、この「麻薬撲滅戦争」をめぐる治安当局の暴力に対する捜査を強く求めていたが、ねつ造された容疑で逮捕された。デリマさんと同様に、警官に殺害された被害者やその家族に、これまで法の正義や捜査当局の責任が果たされることはなかった。
アムネスティ国際ニュース
2023年5月12日
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