- 2006年7月13日
- 国・地域:イスラエル/被占領パレスチナ地域/パレスチナ
- トピック:地域紛争
6月28日未明に始まったイスラエル軍のガザ地区への侵攻は、同地区における発電所、水道施設、橋、道路など、民間のインフラを意図的に、繰り返し攻撃しました。このような攻撃により、ガザの人口の半数近い住民が電気も安全な水も十分に得られず、日常の生活に極端な打撃を受けています。また復旧に数ヶ月かかることから、一般住民の健康に一層長期的な人道的危機をもたらすことが危惧されす。
民間人の財産やインフラ(社会基盤)に対する意図的な攻撃は、国際人道法に違反し、戦争犯罪です。ジュネーブ第四条約(戦時における文民の保護に関する条約)は、私有もしくは公共の財産の破壊を禁止し(第53条)、また国際刑事裁判所ローマ規程は、「民間の人や物を意図的に狙った攻撃」は戦争犯罪を構成するとしています(第8条(b)(ii))。
イスラエル軍は、今回の軍事侵攻は、6月25日以来パレスチナ武装勢力によって拘束され続けているイスラエル兵の解放のための圧力であり、また武装勢力が「カッサム」ロケットをイスラエル市街地近くへ向けて発射していることへの対抗手段だと主張しています。しかし、一部の武装勢力に対する対抗措置として一般住民に甚大な被害を及ぼす行為は「集団的懲罰」と見なされ、このような行為も国際人道法で禁じられているということを、私たちはイスラエル政府に強く主張します。
今年1月にハマス政権が発足して以来課されている制裁措置によって、パレスチナの経済はすでに疲弊しきっています。これ以上パレスチナの一般住民が犠牲になること、軍事侵攻によって政治的解決がさらに遠のき、暴力の連鎖が拡大することを、私たちは強く憂慮します。
7月8日、パレスチナ自治政府のハニヤ首相は、イスラエル軍と武装集団の双方に停戦を呼びかけたと報道されています。私たち、「Stop the Wall! 実行委員会」は、イスラエル政府および武装勢力の双方がこの呼びかけに応じ、政治的交渉のためにあらゆる努力を尽くすことを要請します。
同時に私たちは、パレスチナの人道危機を憂慮するNGOとして、日本政府が外交を通じて双方の停戦を呼びかける努力を最大限行うよう、要請します。
イスラエル政府に対して
- ガザへの軍事侵攻を直ちに停止し、政治的交渉を再開すること。
- 占領者としての責任において、イスラエル軍が破壊した電力・水道設備の修復のために、早急な対策を講じること。
- 6月29日にイスラエル軍によって捕らえられたハマス政権の閣僚や国会議員を解放すること。
- この数ヶ月間のイスラエル軍の砲撃や空爆による市民の死傷者について、独立した調査を実施すること。
パレスチナ自治政府に対して
- 現在パレスチナ武装勢力によって拘束されているイスラエル兵が、危害が与えられず、直ちに解放されるよう、あらゆる影響力を行使すること。
パレスチナ武装勢力に対して
- 人質にとったイスラエル兵を直ちに釈放し、そのような人質行為を止めること。
- イスラエルの市街地に向けたロケット弾攻撃など、イスラエル市民を標的にする攻撃を止めること。
日本政府に対して
- イスラエル政府に対し、ガザ地区侵攻に抗議の意を表明すること。
- イスラエル、パレスチナ両者が政治的対話を再開するよう、あらゆる外交手段を通じて要請すること。
以上。
2006年7月11日
Stop the Wall! 実行委員会
(特活)アーユス仏教国際協力ネットワーク、(社)アムネスティインターナショナル日本、(特活)シェア=国際保健協力市民の会、CHANCE!pono2、(特活)日本国際ボランティアセンター(JVC)、(財)日本クリスチャンアカデミー関東活動センター、日本キリスト教協議会(NCC)、日本パレスチナ医療協会、(財)日本YMCA同盟、日本YWCA、(特活)パレスチナ子どものキャンペーン、パレスチナの子供の里親運動、グループ・サフ-リア、ピースボート
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