- 2025年6月12日
- [国際事務局発表ニュース]
- 国・地域:イスラエル/被占領パレスチナ地域/パレスチナ
- トピック:地域紛争
イスラエルは、占領下のガザ地区に対する違法な封鎖を破り緊急人道支援物資を運ぼうとしたガザ自由船団のマドリーン号の航行を阻止し、乗船していた活動家ら12人を拘束した。活動家のグレタ・トゥーンベリさんも拘束されたうちの1人だ。
占領下のガザ地区の民間人に対する法的な義務をまたもや無視した行為であり、法的拘束力のある国際司法裁判所(ICJ)の命令を歯牙にもかけない姿勢を示すものだ。
真夜中に国際水域で実施されたこの拿捕は、船に乗っていた非武装の人びとを危険にさらした。彼らは人道支援に取り組む活動家や人権擁護者だ。イスラエル当局は拘束した人たちを直ちに無条件で解放しなければならない。解放されるまでは拷問等から保護する必要がある。
占領国として、イスラエルはガザ地区の民間人が食料、医薬品、その他の生存に不可欠な物資を安全に無理なく入手できるよう保証する国際的な義務を負っている。しかしイスラエルはガザのパレスチナ人に対し、肉体の破壊をもたらすことを意図した生活条件を故意に課す行為を続けてきた。絶望の淵にある人びとへの中立的な人道支援の妨害は、その一環だ。軍事攻撃では、農業用地など食料生産に欠かせないインフラを破壊・損傷し、彼らが飢餓に陥いるように仕向けている。
数日間の航海中マドリーン号の使命は、包囲されて飢餓などに苦しむパレスチナの人びとへの連帯の象徴となった。さらに、この使命そのものが、国際社会がイスラエルの非人道的な封鎖を終わらせる行動を起こさないことを非難するものでもある。イスラエルの同盟国が、ガザへの支援を可能にする力強い行動をとっていれば、活動家らが命を危険にさらす必要はなかった。
世界的な要請にもかかわらずイスラエルがマドリーン号の航行を阻止したことは、イスラエルが長年享受してきた不処罰を浮き彫りにするものだ。罰せられないがために、イスラエルは平然とガザでジェノサイドを続け、18年間にわたる違法なガザ封鎖も維持できたのだ。各国がイスラエルへの全面支援を止める具体的な措置を講じない限り、イスラエルは好き勝手にふるまい続け、パレスチナ人に対して絶え間ない死と苦痛を与え続けるだろう。
今すぐ行動を起こさなければ、各国はパレスチナ人に対する深刻な人権侵害に加担するリスクを負うことになる。マドリーン号を拿捕し乗船者を拘束したイスラエルの行為を公に非難し、船内にいる全員の即時無条件の解放を要求すべきだ。今こそ、口だけでなく行動で明確な立場を示す時だ。飢餓とジェノサイドにさらされている人びとへの人道支援に対する阻止はこれ以上容認しないと、明確に示す必要がある。イスラエルに対し、息の詰まるような封鎖を解除し、ガザへの全検問所を通じて支援の搬入を認めるよう、強く迫らなければならない。
アムネスティ国際ニュース
2025年6月9日
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