- 2006年7月14日
- 国・地域:イスラエル/被占領パレスチナ地域/パレスチナ
- トピック:地域紛争
緊張が急速に高まっている現時点において、全ての当事者が国際人道法の要件を遵守すること、そして当事者らがそうするよう強調するために、他の政府があらゆる適切な手段を講じることがきわめて重要となっている。
「レバノンの民間人および民間のインフラに対する攻撃をイスラエルは直ちに終えなければならない。その攻撃は集団的懲罰となっている。軍事的対象物あるいは軍事目的に使用されるかもしれない民間の対象物を標的にする場合、イスラエルは均衡性の原則も尊重しなければならないのである」とアムネスティ・インターナショナルの中東プログラム部長のマルコム・スマートは述べた。
「ヒズボラはイスラエルの民間人に向けた攻撃を止めなければならない。また、7月12日に捕らえた2名のイスラエル兵士を人道的に扱い、彼らが国際赤十字委員会に直ちに接触できるようにしなければならない」とマルコム・スマートは述べた。
ヒズボラが国際法の下での義務を遵守することを保証するために具体的手段を講じるよう、アムネスティはレバノン政府にも要請した。
背景
昨日、ヒズボラの軍事部門による越境攻撃があって以来、レバノン南部の村むらに対してイスラエル軍の空爆と砲撃があり、約40名のレバノンの一般市民が殺されたと報じられている。ヒズボラによる攻撃では2名のイスラエル兵士が捕らえられ、8名が殺された。レバノン人の犠牲者の中には、8人の子どもがいる10人家族(ナバテア 近郊のドゥウェール村)や、生後7か月の赤ん坊を含む7人家族(ティール近郊のバフレ村)などがいる。さらに60人以上の民間人がこの攻撃やその他の攻撃で負傷した。
またイスラエル軍はレバノン全土の民間施設を計画的に攻撃した。その中には、ベイルート国際空港、10の橋、発電所、そしてヒズボラの拠点、特にベイルートにあるテレビ局アル・マナールの事務所とバールベック在の中継局が含まれている。
これと同時に、ヒズボラはイスラエル北部にカチューシャロケットを発射した。このロケットは今日早くに、ナハリヤの町にある住居に命中し、イスラエル人女性1名が死亡、数十名の民間人が負傷した。
ジュネーブ第四条約では「集団的懲罰およびこれと同様のすべての脅迫やテロ行為」を禁止している(第33条)。同条約第147条では、「軍事的な必要性によって正当化されず、かつ不法かつ恣意的に行なわれる...広範な破壊」、人質をとること、「拷問あるいは非人道的な取り扱い」はジュネーブ条約の重大な違反であり、戦争犯罪であるとしている。条約の全加盟国は、この条約に重大な違反をした者の訴追を要求・保証することを求められている。
ジュネーブ諸条約の第一追加議定書には、国際人道法の慣習法である軍民区別の原則が次のように明文化されている。「紛争当事者は、民間人及び民間施設を尊重し及び保護することを確保するため、民間人と戦闘員、また、民間人と軍事目標を常に区別し、この区別に従って軍事目標のみを軍事行動の対象とする」(第48条)。国際人道法は民間人と民間施設への攻撃を厳しく禁止している。国際刑事裁判所ローマ規程では、「民間人あるいは敵対行為に直接参加していない個人に対する意図的な攻撃」および「民間施設に対する意図的な攻撃」(第8条2項(b)(i)(ii))を戦争犯罪としている。
アムネスティ国際ニュース
(2006年7月13日)
AI Index: MDE 15/064/2006
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