- 2006年8月 1日
- 国・地域:イスラエル/被占領パレスチナ地域/パレスチナ
- トピック:地域紛争
今回の紛争の両当事者とも、戦時の国際法を黙殺して無視しており、その結果双方の民間人が戦争犯罪の被害をこうむっている。アムネスティ・インターナショナルは、本日そのように語った。
「両当事者とも、基本的な人権の原則を踏みにじり無視している。ただちに完全かつ効果的な停戦をしないかぎり、紛争にかかわる双方の民間人を守ることはできない。」アムネスティのアイリーン・カーン事務総長はそのように語った。
「イスラエルやヒズボラに対して影響力があり、今回の紛争を終わらせることができるはずの各国政府が、依然として政治的軍事的利害を無辜の民間人の生命よりも優先していることは、まったく恥ずべきことである。」
アムネスティは、国際社会に対し、即時かつ完全な停戦のためにただちに交渉を開始するとともに、ジュネーブ諸条約締約国会合を開催して、カナなどへの攻撃について独立し中立的な調査をおこない、戦争犯罪の責任者たちを司法の裁きにかけるべく協議するよう、要請する。
レバノンにいるアムネスティの調査員は、爆撃直後にカナを訪れ、救助隊が子どもたちの身体を瓦礫の中から救い出すのを目撃した。また必死になって生存者を掘り出そうとするのを見た。ティルスの病院では、妻と老母、2歳から11歳までの5人の子どもたちを一度に失ったモハメド・カセム・シャロブは、自分自身は一階の部屋で17人の子どもたちと一緒に寝ていたが、助かったのはそのうちのたった一人だった、と語った。また別の生存者は、兄と姉を失ったが、彼女と家族はここ10日ほどは防空壕の中に隠れており、洗濯などで出たところを村の中をしばしば見回っていたイスラエル軍の斥候に発見されたのに違いない、と語った。
「戦争を遂行している両当事者に、戦時国際法を守れ、民間人を守れと求めても、彼らは耳をふさいで聞こえないふりをしている。イスラエルは過剰かつ民間人や人道活動家を標的にした攻撃を加えており、ヒズボラはイスラエル民間人が集まる場所に向けてロケット弾攻撃を続けている。」アイリーン・カーンはそのように語った。
イスラエル当局は、ヒズボラがカナの民間人を「人間の盾」として意図的に利用した、と主張している。たしかに国際人道法は、軍事目標の攻撃を避けるために「人間の盾」といった手段を講じることを明示的に禁止している。しかし、国際人道法は、はっきりと次のようにも言っている。すなわち、たとえ一方の当事者が民間人の背後に隠れていたとしても、そのような違反行為によって「民間人住民および民間人に対する法的義務を、紛争当事国に免除するものではない」とも明確に規定しているのである。
イスラエルはリタニ川南岸に居住する民間人全員に対して避難警告をおこなった、という報道は、それ自体、効果的な警告という概念がいかにないがしろにされているかを示している。40万もの人びとに対してそのような警告を発するなどということは、結局、民間人の住民の身の安全を確保するよりも、むしろ人びとの間にパニックを引き起こす以外の何ものでもない。避難路で攻撃を受けるのではないかと恐れている人びとが大勢いる。単に避難そのものができない人びともいる。イスラエル軍が住民に警告を与えた南レバノンの町や村で、それを受けて避難しようとした人びとをイスラエル軍が攻撃した、という事件がいくつもある。イスラエルが橋や道路を情け容赦なく爆撃したため、南レバノンに住む人びとは、イスラエルの警告を受けて北部に避難しようとしてもそれが極めて困難である。
国際慣習法では、過剰ないし無差別の攻撃を故意に加えることや、民間人や民間施設に対して故意に攻撃を加えることは、戦争犯罪を構成する。
「乱射ゾーンという概念は、国際人道法に反する。カナでの攻撃は、これまでこの戦闘がどのように行われてきたかを示す典型的な例である。イスラエルは民間人を保護するための必要な予防策をとっていないか、あるいは故意に民間人に対して過剰な攻撃を加えたかのどちらかなのだ。」アイリーン・カーンは、そう語った。
アムネスティ・インターナショナル国際発表(国際事務局・ロンドン)
AI INDEX: MDE 02/002/2006
2006年7月31日
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