イラク:差別的な動機を含め、市民の死者数の増加に大きな懸念

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2006年8月11日
国・地域:イラク
トピック:地域紛争
アムネスティ・インターナショナルは、イラクで市民の殺害が続いていること、またイラク当局が殺害を防げず、加害者を裁くことができない状況が続いていることについて、重大な懸念を抱いている。

ここ数か月の間に、爆発や自爆攻撃、また増え続ける宗派間の暴力によって、バグダッドやその他の町や市で毎週、何百人もの人びとが殺害されていると報告されている。

最近の国連の報告書によると、2006年5月と6月で5,818人の市民が殺害され、少なくとも5,762人が負傷した。今日、ナジャフの南部に位置する町では、自爆攻撃によって35人が死亡したと報道された。さらに、若者や成人男性を中心に、何十人もの人びとが誘拐され、殺害された。彼らは、しばしば両手を縛られ、死亡する前に拷問にかけられたと思われる。

何千ものイラク政府軍やバグダットへ最近派遣されたおよそ4,000人の米国部隊による治安活動にもかかわらず、殺害は増加し続けている。アムネスティ・インターナショナルは、イラク政府や外国部隊の駐留に反対する武装勢力の意図的な市民の殺害を、繰り返し非難してきた。武装勢力によるこのような殺害や他の人権侵害は、戦争犯罪や人道に対する罪にあたる。

差別的な動機
被害者の多くは、スンニ派かシーア派に属するか、またキリスト教やマンダヤ教などの宗教的少数派に属しているかなど、宗派の違いを理由に標的とされているようだ。しかし他にも、女性やイラクに長年住んでいるパレスチナ難民、同性愛者、性転換者など、ジェンダーや性的指向、国籍を理由に標的にされていると思われる。

多数のメディアの報道によると、同性愛者と疑われた人は名指しされ、攻撃され、時には「不道徳な行為」だとされて殺害される。加害者として疑われている中には、民兵や、ウォルド旅団のようなイラクの治安部隊の隊員が含まれる。ウォルド旅団はイラクの内務省直属の特別警察部隊で、バグダッドに住むパレスチナ難民に対する拘禁や拷問などの人権侵害で責任を問われている。

アムネスティ・インターナショナルはイラク政府に対して、迅速かつ徹底的に、公平に、そして独立性を持ってこのような殺害の調査を行い、加害者を特定し、裁判にかけることを確実にするための断固とした措置をとるよう求めている。アムネスティはまた、イラクの全政党、宗教、地域社会の指導者に対して、被害者の性別、人種、民族的背景、宗教、政治的信念、性的指向、ジェンダー・アイデンティティにかかわらず、すべての民間人の殺害を非難し、自らの集団に属する人びとにこのような殺害を止め、すべてのイラク人の人権を差別なく尊重することを求めるよう、要請する。

アムネスティ国際発表ニュース
AI Index: MDE14/03/2006
2006年8月10日

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