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フィリピン:増え続ける政治的殺害は、報復の悪循環を招く

2006年8月20日
国・地域:フィリピン
トピック:危機にある個人
フィリピンにおける多くの政治的殺害は、2年目に入って増加しており、アムネスティ・インターナショナルが集めた情報によると、2005年の一年間で66人であったのに対し、2006年には、前半だけで少なくとも51人が殺害された。

武装勢力の指導者は、報復的暗殺部隊を結成すると脅しをかけている。

政治的殺害は、正体不明の男が左派政党のメンバーを銃撃しバイクで逃走するというパターンをとる。これは反乱鎮圧作戦の強化の一貫として行われてきた。アムネスティが本日発表した報告書によると、フィリピン政府は、人びとを保護できてない。

「このような政治的殺害を止めるためには、すべての事件について確実に起訴するという、真の政治的意志が必要である。最近アロヨ大統領が呼びかけた、10週間に10件を起訴するという程度のことではない」と、アムネスティのティム・パリット東南アジア調査官は述べた。

襲撃事件が殺人者の逮捕、起訴につながることはめったにない。アムネスティは、長年にわたって人権侵害の被疑者が起訴されず有罪判決が出ないことによって、法の支配に対する公の信頼が失われるという悪影響が出ていると懸念している。

政治的殺害を調査するために結成されたTask Force Usigによると、2001年から114件の政治的殺害が報告されているが、警察はたった3事件の容疑者しか逮捕しておらず、有罪判決は一件も下されていない。

「これらの犯罪を解決するということは、単に警察が検察官といっしょに報告書を書くということではない。独立して実効的な調査をするということであり、それに続く公正な裁判と加害者の処罰が重要なのである。それによって初めて、正義が実現すると言うことができる。」

キリスト教会の全国協議会のメンバーであるエディソン・ラプツ牧師は、農民と漁民の権利のために活動し、バヤン・ムナ党の地域調整役を務めていた。ラプツ牧師は、バイクに乗った2人の男に銃撃され死亡した地元の人権派弁護士フェリディト・ダカトの殺害について正義を追求する活動を積極的に行っていた。

2005年5月12日、ラプツ牧師 は、その日の早い時間に義父の葬儀に参列していたが、義父の家の中で正体不明の2人の男に殺された。地元の住民は、銃撃の前に、近くの店に停めてあったバイクにヘルメットをかぶった4人の男が乗っているのを見たと語っている。

ラプツ牧師は殺害される前、マニラの教会の同僚らに、彼が軍に監視されているともらしていた。ラプツ牧師の妹は、その前の10月に制服を着た軍の隊員が父親の家を訪ね、兄について細かく情報を求めたと語った。

ラプツ牧師の事件に対する警察の調査には、目撃者が十分に保護されていないなど、深刻な問題がある。調査は行き詰ったままで、殺害から一年以上経過しても、起訴も逮捕もされてない。

「被疑者を特定・捜査しないため、警察に対する信頼は失われ、裁判の結果を導くこともできない。目撃者は名乗り出ることを怒れる。被害者の家族は、警察の捜査に協力することを拒否したり、裁判手続きを止めたりしがちだ」と、ティム・パリット調査員は言う。

「治安部隊の関係者を含め、事件の加害者は起訴され処罰されなければならない。また、犯罪とその隠蔽工作に公式の指揮系統が関与しているかどうかを、証明しなければならない」

アムネスティ・インターナショナルは、政府の共産主義者に対する「全面戦争」宣言が、殺害のさらなる増加につながることを懸念している。殺害された人の多くは合法政党の党員であるが、その法的地位にもかかわらず、非合法の共産党系武装勢力のための表向きの組織であると政府高官に非難されている。

「政治的所属によって死ぬべき者など誰もいない」と、ティム・パリット調査員は言う。「フィリピンの人びとが政治的表現や結社の権利を自由に行使できないことは、政府にとってひどく恥ずべきことだ」

増え続ける殺害は、共産党との和平プロセスの決裂を招いた。アムネスティ・インターナショナルは、フィリピン政府が政治的殺害を防止し、起訴するための断固たる措置を取らない限り、和平への希望は実現しないと考えている。

アムネスティ国際ニュース
(2006年8月15日)
AI Index : ASA 25/008/2006

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