イスラエル/被占領パレスチナ地域/パレスチナ:新統一政府は政略よりも民間人保護の優先を

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2007年3月 7日
国・地域:イスラエル/被占領パレスチナ地域/パレスチナ
トピック:地域紛争
アムネスティ・インターナショナル事務総長のアイリーン・カーンは、本日、パレスチナの大統領と首相に書簡を送り、すべてのパレスチナの人びとの人権を尊重し法律の範囲内で活動する治安部隊を創出することを、新統一政府の最優先事項とするよう要請した。

パレスチナ占領地域において、アッバス大統領の政党ファタハとハニヤ首相の政党ハマスにしたがう武装集団と治安部隊の間での暴力が悪化しており、その連鎖を助長する免責の構図を打破するためにも、両指導者は行動を起こさなければならない。

「両者間の合意により、自らの部隊が行なっている人権侵害に取り組み、そして余りにも長きに渡って、銃を持った者が自由に歩き、犯罪を繰り返すことを許している免責の構図を断固として終わらせなければならない。ファタハとハマスの指導者たちは自分たちの勢力内の秩序を回復し、多くのパレスチナの人々の生命を奪った内部抗争の助長をストップしなければならない」とアイリーン・カーンは述べた。

アムネスティ・インターナショナルは迅速な行動をとるよう、両指導者に以下のことを要請した。

  • 治安部隊および検察当局の構成員の募集と訓練は各党派の政治的統制から独立したものとし、彼らが責任を負うのは、その所属する地域社会そのものとすること。
  • 人々の安全を脅かすような方法で火器・弾薬を使用したり携行することが、如何なる集団や個人にも許されないということを確実にすること。
  • 治安部隊のすべての構成員に対して、権力を濫用したり人権侵害を行なったものは責任を問われ、場合によっては刑事訴追もあり得ると、明確に示すこと。
  • 治安部隊に対し独立的、中立的かつ党派によらない監督を行なうことを保証する仕組みを整えること。
  • あらゆる殺人や誘拐、民間人に対するその他の攻撃に対し迅速かつ徹底的、公正な調査を行なうこと、またそのような犯罪に責任がある者が、公平な裁判のため国際的に認められた基準に沿った、かつ死刑にはつながらない手続で、裁かれることを保証するよう手段を講じること。


過去6週間だけでも、両者間の武力攻撃と衝突で80人以上が殺され、負傷者が出た。犠牲者の多くは武装戦闘員であるが、少なくとも10人もの子どもを含む非武装の民間人たちもおり、さらに多くの負傷者がいる。両者は紛争での交渉を有利にみちびくための手段として人びとを誘拐もしている。

「この暴力に責任がある人びとには、パレスチナ大統領マムード・アッバスにしたがう大統領警護隊とパレスチナ自治政府のハマス政権によって作られた行政部隊という対抗しあうパレスチナ治安部隊の構成員たちが含まれている。」「法を支持し、パレスチナ武装集団の暴力に向き合う代わりに、これらの部隊は一緒になって問題を悪化させてきた」とアイリーン・カーンは述べた。

新統一政府は、国際法に反したあらゆる殺人、誘拐、民間人―パレスチナ人であれ、イスラエル人であれ、あるいは他の国籍の人びとであれ―に対するその他の攻撃に対し、迅速かつ徹底的、公正な調査が行なわれること、またそのような犯罪をした者が法の下で裁かれることを保証しなければならない。