チャド:激化する紛争に不可欠な国連軍の配備に十分な装備を

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2007年11月29日
国・地域:チャド
トピック:地域紛争
アムネスティは本日、平和維持軍への技術的支援が不足しているために、チャド、ダルフール、中央アフリカ共和国において人びとの命が危険にさらされ、人権および人道的危機の解決をはかるためにこれらの地域で進展しつつある国際社会の努力が水泡に帰しつつある、と警告した。

アムネスティのアフリカ部副部長タワンダ・ホンドラは、「チャドで紛争が激化しており、チャド東部への国連軍の緊急配備が必要だ」と述べた。

欧州連合軍(EUFOR)の支援を得て、チャドおよび中央アフリカ共和国に派遣される国連軍(MINURCAT)は、民間人を保護する責務を担って、11月に配備される予定だった。

過去数日に渡り、チャド国軍と反政府武装勢力が、チャドとスーダンの国境で激しい戦闘を再開している。

こうした戦闘の激化にも関わらず、地上および空輸装備の不足によって、EUFOR軍の配備が遅れている。これは、ダルフールに配備された国連とアフリカ連合の共同軍が直面する問題と共通するものである。この共同軍も、割り当てられた任務に対して、装備があまりにも貧弱である。

「チャドでは、数十万人もの民間人の命や安全が極度な危険にさらされているにもかかわらず、民間人を保護する名目で軍を派遣したEU加盟国から、1台のヘリコプターさえ提供されていない」、とホンドラ副部長は述べた。

「チャド東部、中央アフリカ共和国、ダルフールで数千の人びとの命が危険にさらされている。これは、軍が安全で効果的な平和維持活動を遂行するためには、国連加盟国が配備を約束した地上および空輸装備が必要であるにもかかわらず、いまだ提供されていないためである」。

2005年以降、数千人がチャド東部の戦闘で死亡し、約20万人がダルフールで命を奪われた。また何百人もの女性や少女が強かんされている。村はすべて略奪されて、焼失した。現在、17万人以上の人びとがチャド東部に点在するキャンプで起居し、ダルフールでは100万を超える人びとが同様のキャンプに居住している。

「十分な資源が与えられなければ、チャド東部、中央アフリカ共和国、ダルフールの平和維持軍は、どのようにして当初の予定通りに民間人を保護することができるだろうか?」、とホンドラ副部長は疑問を呈した。

「言葉や同情だけでは十分とは言えない。国際社会は、今、誠意を示して、現在進行しつつあるこの危機の解決をめざすべきだ。まず口先だけでなく行動を起こし、極めて危険かつ困難な状況下で民間人を保護するために派遣された軍隊に対して、必要な装備を提供するべきである」。

背景情報
2003年以降、ダルフールの村は、スーダンの武装勢力、ジャンジャウィド民兵および反政府武装勢力によって攻撃され、総計24万人にのぼる難民が避難を余儀なくされた。難民たちはチャドにある12の難民キャンプに避難し、ほぼ100パーセント人道援助に依存して生活している。

2005年に始まった大規模な攻撃と強制移住は、ダルフールからチャドへと拡がり、ジャンジャウィド民兵と地元のチャド人が徒党を組んで村を略奪し、地元の農民を殺害した。現在、チャド東部および周辺の難民キャンプに、18万人をこえるチャド人が避難している。

2007年9月25日、国連安保理は満場一致で決議1778を採択し、チャド東部と中央アフリカ共和国北東部において、EUFOR軍と共同で国連平和維持軍の活動(MINURCAT)を展開することが承認された。

この決議によれば、国連憲章第7章の下で、EUFOR軍には民間人の保護に貢献する責務がある。

AI Index:AFR 20/012/2007
2007年11月29日

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