- 2008年3月14日
- [日本支部声明]
- 国・地域:イスラエル/被占領パレスチナ地域/パレスチナ
- トピック:地域紛争
私たちアムネスティ・インターナショナル日本は、世界最大の人権擁護団体アムネスティ・インターナショナルの日本支部として、また世界の220万人以上のアムネスティの会員・支援者とともに、現在のガザ地区における人権および人道状況について深く憂慮し、日本政府による外交的介入を要請する書簡をお送りしています。
周知のとおり、イスラエル軍のガザ地区に対する2月27日から3月3日にかけての攻撃は100人以上の死者を出す結果となり、そのうちの半数以上が、戦闘に参加していない非武装の民間人だったと伝えられています。一方、3月6日にはエルサレムにおいてパレスチナ人による神学校への銃乱射があり、8人のイスラエル市民が死亡しました。このような状況下、武力による報復の連鎖が拡大し民間人への被害が増すことが懸念されています。オルメルト首相は、パレスチナ武装勢力からのロケット弾攻撃があれば、今回のような軍事行動を行うだろうと語っています。さらに、イスラエル当局が人口密集地への空爆を許可することを検討しているとの報道もあります。
アムネスティ・インターナショナルは、イスラエル政府には自国民を守る義務があることを十分に理解し尊重します。私たちは一貫して、パレスチナ武装勢力に対してイスラエルの民間人を標的とする攻撃を非難し、そのような攻撃を止めるよう繰り返し要請しています。しかし、一部の武装勢力に対する対抗措置として民間人に甚大な被害を及ぼす不相応に過剰な攻撃は、国際人道法違反であり、許されるべきではありません。
また私たちは、イスラエルによるガザ地区封鎖についても強い懸念を抱いています。パレスチナ武装勢力によるロケット弾攻撃を理由にイスラエルがガザ地区の厳重な封鎖を強化した結果、ガザ地区の150万人の住民が人道危機に直面しています。イスラエルによる封鎖によって、すでに電気、燃料、器具、備品の不足と格闘していた病院や医療施設は、最近のイスラエルの攻撃によって生じた大量の負傷者に懸命に対応しています。ガザ地区の境界が封鎖されているため、地元では受けられない治療が必要な多くの患者が外部の病院に移ることができず、生命を失う危機に瀕していると伝えられています。戦闘と関係のない無辜の民間人の生活を意図的に困窮させ生命の危機に晒すような措置は「集団的懲罰」であり、これもまた国際人道法に反する行為です。
私たちはこれまでの日本政府による中東和平プロセスでの役割を評価しつつ、今回の人権および人道の危機的な状況について、日本政府に以下を申し入れます。
・ いかなる場合においても、民間人の犠牲者を出す危険が高い不相応に過剰な攻撃を止めるよう、イスラエル政府に要請すること・ いかなる軍事行動も国際人道法および人権法に合致したものであることを保証する対策を講じるよう、イスラエル政府に要請すること・ イスラエル軍によってなされた国際人権法および人道法違反について調査を行い、適切な処罰を行うよう、イスラエル政府に要請すること・ 国際人道法上、イスラエルが占領権力としてガザ地区の民間人の福祉を保障する義務があることを想起し、パレスチナ人や物資の移動を不必要かつ恣意的に制限する措置を速やかに中止し、とりわけ、ガザ地区外での治療を必要とする患者が外部の病院に移ることを遅滞なく許可するよう、イスラエル政府に要請すること
和平交渉の再開には、イスラエルおよびパレスチナ武装勢力両当事者による、国際人権法と人道法をないがしろにした民間人への攻撃や、イスラエルによる集団的懲罰を止めることが重要な前提条件となります。私たちは、日本政府による断固とした外交努力を要請いたします。
以上
2008年3月14日
社団法人アムネスティ・インターナショナル日本
理事長 搆 美佳
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