イスラエル/被占領パレスチナ地域/パレスチナ:民間人に対するイスラエルの白リン弾使用は「明白で否定できない」

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2009年1月19日
国・地域:イスラエル/被占領パレスチナ地域/パレスチナ
トピック:地域紛争
ガザ地区を訪問したアムネスティ・インターナショナルの派遣団は、ガザ市とその北部の人口が密集した住宅地で白リン弾が広範に使用されたという確実な証拠を得た。

「昨日、私たちは、まだ燃えているくさび状のものと、イスラエル軍によって発射された砲弾や弾筒の残骸など白リン弾使用の証拠が、通りや路地に散らばっているのを確認した」と、ガザにいる武器の専門家で、4人からなるアムネスティ・インターナショナルの事実調査チームに加わったクリストファー・コブスミスは述べた。

「白リン弾は戦場で部隊の移動のために煙幕を張るのを目的とした兵器だ。引火性が高く、空中で破裂し、その波及的影響力のため、民間人のいる場所で決して使用されるべきではない」と、コブスミスは述べた。

「ガザの人口が密集する住宅地でこの兵器を多量に使用することは、本質的に無差別といえる。この無差別的な影響と民間人の犠牲という証拠があるにもかかわらず、このような方法で繰り返し白リン弾を使用したことは、戦争犯罪である」と、アムネスティのイスラエル及び被占領パレスチナ地域担当調査員であるドナテラ・ロベラは述べた。

白リン弾のくさびがすべての住宅用建物の周囲に散らばって、多くは18日もまだ燃えており、さらに住民や財産を危険に晒している。通りや路地は遊んでいる子どもたちであふれ、多くはその危険に気がつかないまま戦争の置き土産に近寄っている。

「大砲は地域攻撃兵器で、ピンポイント攻撃には適していない。地上で破裂するものとして通常使用されるこれらの弾薬を空中で破裂させるために発射したという事実は、危険地域を予想以上に拡大させている」とクリス・コブスミスは述べた。

各155ミリの砲弾は、破裂すると白リンが染み込んだ116のくさびを撒き散らす。白リンは酸素と結合して発火し、四方に散らばる。破裂する高度(および風の状態)によって、少なくともサッカー競技場の広さの地域に広がる。空中で破裂するこのような兵器の無差別的な影響に加えて、大砲でこのような砲弾を発射したことは、民間人に被害が及ぶ可能性をさらに増している。

アムネスティ・インターナショナルの調査団は、家屋や建物の内外で白リン弾のくさびと(それらをばらまいた)砲弾の薬きょうの両方を見つけた。これらの鋼鉄製の155ミリ重砲弾のうちのいくつかは、住宅に甚大な損害を与えている。

白リン弾使用で最悪の影響を受けたものの1つは、ガザ市の国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)の施設である。1月15日、イスラエル軍は同施設に3発の白リン弾を発射した。白リン弾は燃料を積んだいくつかのトラックの隣に着弾し、多くの人道援助物資を損壊させる大火災を引き起こした。UNRWA構内はすでにこの攻撃より1時間ほど前に攻撃を受けており、イスラエル当局はUNRWA職員から通知を受け、同施設に向けてのさらなる攻撃はないとの保証を与えていた。

同じ日、別の場所でも白リン弾がガザ市のアルクズ病院に着弾し、火災を引き起こしたため、病院のスタッフが患者たちを避難させることを余儀なくされた。

皮膚に付着した白リンは筋肉に深く浸透して骨まで達して燃焼し、酸素がある限り燃え続ける。

背景:
1月18日から発効のイスラエルとハマスによって別々に宣言された一方的停戦は、双方から尊重されていない。イスラエル軍はガザ地区のいくつかの地域で駐留しつづけている。1月18日の朝には、イスラエル軍から発射されたミサイルによって、ガザ地区北部のベイトハヌンの東で、11歳のアンガム・ラファット・アルマスリが殺され、母親が負傷した。同時に、パレスチナ武装集団は数発のロケット弾をイスラエル南部の町や村に向けて発射し、3人のイスラエルの民間人に軽傷を負わせた。

アムネスティ発表国際ニュース
2009年1月19日