フィリピン:大統領候補者たちは人権についての立場を明らかにすべき

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2010年2月 9日
国・地域:フィリピン
トピック:国際人権法
マギンダナオでの大量殺人は、選挙を前にしたフィリピン史上最悪の暴力であり、同国の人権状況に世界が注目した。5月10日に行われる大統領選の候補者たちは、今こそ、フィリピンが直面している重要な人権課題にどう取り組むかを明確にすべきである。

大統領選挙キャンペーンが公式に始まる9日、アムネスティ・インターナショナルは全候補者に、深刻な人権侵害に対応するために大統領就任直後の100日間にとるべき行動について明確に約束するよう求める。候補者への公開質問状で、アムネスティ・インターナショナルは以下の点について公約の確認を求めた。

1) 大統領令546を廃止し、国が支援するすべての民兵や準軍事組織について完全な説明責任を果たすこと。

11月23日にマギンダナオで起きた、民間人63人の大量殺害にもかかわらず、政府から武器供与を受けた地元の武装集団や私兵は他の地域で自由に活動している。フィリピン政府は、これらの武装集団が法の支配を損ない、民間人の人権の保護を否定していることについて、説明責任を果たしていない。

新大統領は就任後100日以内に、民兵や準軍事組織の暴動鎮圧作戦を積極的に支援することを許している大統領令546を無効にすべきである。実際、こうした集団はまともな訓練を受けず、説明責任を果たさず、正規軍の指揮系統にも十分に統合されておらず、深刻な人権侵害に加担している。いくつかの州で、民間人志願組織(CVOs)は、地元の政治家の私兵として事実上機能し、選挙前の暴力の危険性が高まっている。

2) 強制失踪や超法規的処刑を防止し訴追するために、大統領諮問委員会を設置すること。

この10年間で、少なくとも200人のフィリピン人が強制失踪の、また1100人が政治的殺害の犠牲となった。新しい大統領は、時宜にかなった効果的な捜査を行い、令状が出た際には訴追を可能にすることを目的として、これらの事件を再調査する公正で独立した委員会を設立する必要がある。

新大統領は、特に強制失踪や超法規的処刑を刑事罰とするよう法制化に着手すべきである。そして、強制失踪からのすべての者の保護に関する国際条約に署名すべきである。

3) 国内避難民の安全と健康を保証するために、国内避難民に関する国連行動指針を完全に実施するよう行政指導すること。

ミンダナオでの停戦にもかかわらず、2008年の武力紛争だけでも12万5000人以上が国内避難民となったままである。この深刻な人道状況に対処するために、新大統領は政府に対し、国内避難民に関する国連行動指針に沿って諸政策が行われるよう公に指示を出すべきである。

国連の行動指針のもとで、政府は十分な食料、水、避難場所、衣類、基本的な医療と衛生施設を国内避難民に提供することを保証しなければならない。また、人道支援が妨害なく政府の支配地域に入れるよう保証しなければならない。さらに、政府は国内避難民が安全かつ自発的に村に帰還することができるよう、持続的な行動計画を実施すべきである。

最高司令官として、新大統領は軍隊が国際人道法を遵守することを保証する、直接の責任者となる。

国際人道法はその中核として、民間人に対する直接あるいは無差別の攻撃を明確に禁じており、その中には避難民や他のあらゆる非戦闘員が含まれている。

アムネスティ発表国際ニュース
AI Index: ASA 35/001/2010
2010年2月9日

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