イスラエル/被占領パレスチナ地域/パレスチナ:パレスチナ当局は、ラマッラでの警察による暴行事件の被害者に正義を示せ

  1. ホーム
  2. ニュースリリース
  3. 国際事務局発表ニュース
  4. イスラエル/被占領パレスチナ地域/パレスチナ:パレスチナ当局は、ラマッラでの警察による暴行事件の被害者に正義を示せ
2012年7月 9日
[国際事務局発表ニュース]
国・地域:イスラエル/被占領パレスチナ地域/パレスチナ
トピック:変革を求める中東・北アフリカ

警察は、平和的なデモの参加者を弾圧した。
警察は、平和的なデモの参加者を弾圧した。

パレスチナ自治政府は、ラマッラでの平和的な抗議活動に参加した人びとに対し、パレスチナ警察が過剰に実力行使をした事態に対して、独立性と透明性ある調査をするべきである。また責任ある者は、公正に裁かれなくてはならない。アムネスティ・インターナショナルは、マフムード・アッバス大統領への書簡の中で、このように要請した。

ヨルダン川西岸のこの市で6月30日と7月1日、治安部隊が数十人の抗議参加者を襲うという事件が起こった。この事件を調査するために、大統領府は7月2日、調査委員会を設立した。

アムネスティの代表団は7月1日のデモを目撃し、平和的に抗議する人びとが私服や武装した警官らの治安部隊によって殴打、襲撃されている様子を目の当たりにした。また代表団は、両日のデモで警官の暴行で負傷し入院していた参加者らから証言を集めた。

代表団がラマッラで目撃した警察の暴行は、あまりに衝撃的で、到底容認できるものではない。事件調査委員会には、信頼できる独立性と迅速で実効性のある調査を行う資金と権限を与えるべきだ。

調査結果はただちに公表すべきであり、責任を問われるべき者すべてを国際的な裁判基準に従って公正に裁くべきだ。補償金も含め、被害者が償いを受ける権利も保障されなければならない。

弾圧されたデモの参加者とジャーナリストたち

平和的なデモ参加者は、パレスチナの大統領とイスラエルの副首相の間で予定されていた7月1日の会談に抗議するパレスチナ人活動家と市民グループの掛け声で集まった人びとだった。

6月30日午後5時過ぎに約200人がラマッラのマナラ広場に集合し、イルサル通りを大統領の関連施設に向け、平和的に行進し始めた。

パレスチナ警察の私服も含めた警官ら数十人が出動し、デモ参加者の前進を阻止しようと実力行使に出た。

デモ参加者のうち5人は、警察署本部で数時間にわたり拘禁され、そこで警察による虐待を受けたとされる。

デモを取材していたジャーナリストたちも殴打され、ビデオ撮影や写真撮影を妨害された。

独立系ジャーナリストでモハマド・ジャラダット(33歳)は、抗議活動を取材中に負傷して病院に収容された。

彼は、抗議活動中の路上や警察署内で、殴る、蹴る、床に投げ倒すなど、私服警官たちからどのように暴行を受けたかを、病院でアムネスティの代表団に説明した。

警察署では私服警官に押さえつけられたうえ、警棒で全身を打たれたという。アムネスティは、警察に拘禁中に彼が受けた扱いは、事実上の拷問であると考える。

ジャラダットは身元確認後釈放され、中央病院に連れて行かれた。彼は殴打で受けたひどい怪我の治療のため2日間入院した。

デモ参加者のうち10人は、警察と治安部隊に負わされた怪我の治療を同病院で受けた。参加者のち18人が、人権独立委員会に苦情を申し立てた。

7月1日、前夜の警察の暴行に抗議するために二回目の行進が始まろうとしたとき、同様の光景が繰りかえされた。

このデモで負傷した数人は、治安部隊にどのように殴られ、蹴られ、押し飛ばされ、侮辱されるなどしたかをアムネスティに後日説明した。

ダリアという女性(22歳)は、1日のデモで警官に殴打され、擦り傷を負わされ、足蹴にされた結果、頭部と四肢を負傷し入院することになった。

アムネスティと地元の人権擁護団体は、デモを見ていたが、参加者が暴力を働いたり、あおったりする場面は一切なかった。

参加者などから得た証言は、パレスチナ基本法や国際的な人権条約などで保障された平和的な集会や表現の自由などへのパレスチナ当局の姿勢に重大な懸念を示していた。

過去の警察による職権乱用に関する調査を妨げ、調査結果を隠蔽してきた責任逃れの体質を改善するには、このラマッラにおける暴行事件に対する委員会調査を可視化し、即座に公表するべきである。

平和的デモ参加者に対する重大な人権侵害に関与した者を、国際的に公正な裁判基準に則った裁判にかけることが重要だ。調査の発表は、治安部隊の暴行で怪我した人びとに対する法のもとでの正義と償いへの第一歩に過ぎない。アムネスティは進捗状況を、逐一見守っていきたい。

アムネスティ国際配信ニュース
2012年7月4日