- 2013年8月23日
- [国際事務局発表ニュース]
- 国・地域:英国
- トピック:
拘束されたミランダさんのパートナーであるグリーンウォルド記者(C) Gage Skidmore
ブラジル人男性が8月18日、ヒースロー空港で乗り継ぎ中に身柄を拘束された。彼が不当な報復の犠牲者となったのは明らかで、婚姻関係にある彼のパートナー、ガーディアン紙の記者を標的とした行為にほかならない。
デイビッド・マイケル・ミランダさんは、英紙ガーディアンのグレン・グリーンウォルド記者のパートナーで、婚姻関係にある。グリーンウォルド記者は、エドワード・スノーデン元CIA職員から米国の個人情報監視活動の情報を得て、発表していた。
そのパートナーを拘束して取り調べたのは、記者への報復である。当局がブラジル国籍のミランダさんを偶然拘束した、などということは起こりえない。
ミランダさんは、英国の2000年テロ対策法に基づいて拘束された。この法律は令状なしで最大9時間まで身柄を拘束できる。この法律の対象は曖昧で、恣意的な個人の拘束に適用される可能性があるとして、これまで再三にわたり批判されてきた。
ミランダさんは、9時間近く拘束され、所持品の多くを没収された。
彼が英国政府に対する何らかの脅威だとする根拠はまったくなかった。この拘束が行われた唯一のねらいは、ミランダさんのパートナーであるガーディアン紙のグリーンウォルド記者に対する嫌がらせとしか考えられない。
今回の拘束は、違法であり許されない。彼は、あらゆる公平性の原則に反する法の下で拘束された。今回の拘束で、同法が卑劣な報復行為のために悪用されかねないことが明らかになった。
当局は2人を標的にすることで、もし他のジャーナリストが同様に政府に対して批判的な報道をすれば、彼らもまた標的になる、というメッセージを発している。
テロ対策法を議会で通過させ、市民に危害が与えられないようにすると主張しながら、その法律を使って個人の権利を行使した人間に対する報復を、国家が行う。これは許しがたい行為だ。
背景情報
英国ではテロ対策法附則7に基づき、警察は捜査令状がなくても、空港や駅で出入国する乗客らを9時間まで拘束し、テロへの関与などを聴取することができる。被拘束者はいかなる質問にも答える義務がある。返答を拒否すれば、犯罪となる。罪を犯したくなければ、警察に協力せざるを得ない。
英国警察長協会が発表した勧告では、附則7の使用はテロ対策に限定し、その他の目的には使用してはならない、としている。
この法律には、他にも曖昧なところが多い。相当な理由がなくても職務質問や持ち物検査を許可していたのも、その一つだ。欧州人権裁判所は2010年、個人のプライバシーを保護する欧州人権憲章第8条に抵触するとして、これを違法としている。
アムネスティ国際ニュース
2013年8月18日
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