- 2014年7月16日
- [国際事務局発表ニュース]
- 国・地域:イラク
- トピック:地域紛争
イラク・シリアのイスラム国(ISIS)が立てたジハード(聖戦)の黒い旗(モスル市内)(C)
イスラム・スンニ派の「イラク・シリアのイスラム国(ISIS)」が6月、イラク第2の都市モスルとイラク北西部の数地域を占拠して以来、彼らによる殺害と拉致が増加している。アムネスティ・インターナショナルは、最新の調査で明かにした。
調査をまとめた報告書には、ISISが支配する地域から逃れ、住むところを失った市民の悲惨な証言が綴られている。親族が拉致されて殺され、自身の身も危ないと、シーア派が支配する政府軍の空爆の中、命からがら逃げてきた。
市民は、宗派間の武力紛争に巻き込まれて再び窮地に立っている。ISISによる拉致と殺害、政府軍による空爆を恐れ、数十万の人びとが家を捨てて避難を余儀なくされた。両陣営とも国際人道法をまったく無視している。
拉致は、ISISが制圧したすべての町や村で起こっている。連れ去られた多くの人は、行方が分からず、殺害された人もいる。
モスル東部の町の少年(18歳)と叔父(44歳)は6月20日、ISISの検問所で拉致され、2日後、バラバラの死体となって発見した。
アムネスティにそう語った母親が、遺体の写真を見せてくれた。頭部は何か重いもので砕かれ、両手は背中で手錠をかけられていた。一人は喉を切られ、身体の一部は焼け焦げていた。
報告書では、ISISによる他の犠牲者の状況も記録した。その中には、シーア派の警察官3人のケースもあった。警察官の家族によると、3人は6月27日、モスルの警察署で拉致され殺害され、捨てられた。
戦争犯罪に手を染めているのはISIS側だけではない。政府軍とシーア派の民兵は、ISISに侵攻されてタルアファル、モスル、バクバから撤退する際、報復として、100人以上のスンニ派の捕虜を殺害した。
また政府軍が、ISISが制圧した地域を無差別に攻撃しているため、数多くの市民が犠牲になり、多数が避難せざるをえなかった。イラク軍による空爆と砲撃は、最近激しくなっており、市民の危険も拡大している。
内戦は報復の連鎖でますます激しくなり、双方の戦争犯罪と人権侵害は目に余るばかりである。
何よりも市民の安全が最優先である。両陣営とも、人質の殺害をやめ、彼らを人道的に扱い、無差別攻撃に終止符を打たなければならない。
アムネスティ国際ニュース
2014年7月14日
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