- 2014年11月14日
- [国際事務局発表ニュース]
- 国・地域:フィリピン
- トピック:
フィリピンの拷問禁止法は2009年11月10日に可決された。(C) iStockphoto.com/helenecanada
5年前フィリピンで画期的な拷問禁止法が成立したが、以来、拷問がいまだに広く行われている証拠があるにもかかわらず、同法のもとで有罪になった加害者は一人もいない。それはフィリピン当局が拷問問題に真摯にとりくんでいないことを示している。
拷問禁止法は2009年11月10日に可決され、拷問が一つの独立した犯罪として見なされ、補償を求める拷問被害者支援のための重要な取り組みがいくつも規定されている。
ところが、この法律により起訴に至ったケースはほとんどなく、さらに有罪になったケースは皆無だった。本来はその適用で拷問をなくせるはずの法律が形骸化している。政府は拷問根絶への取り組みを一層強化すべきだ。
フィリピンでは、治安部隊が手広く拷問を行っていることは知られているが、拷問を受けたという情報の多くは、警察官によるもので、特に一般犯罪の容疑者に対するものだという。
逮捕後、拷問や残虐な扱いを最も受けやすいのは、未成年の容疑者、犯罪常習者、あるいは警察への情報提供から足を洗おうとする人たちだ。
今年1月、警察の秘密の拘禁施設内で、ルーレットが見つかり大きなニュースになった。そのルーレットで拷問の方法を決めていたのだ。秘密施設にいた43人の被収容者のほとんどが拷問などの残虐な扱いを受けたと言われ、そのうちの23人が告訴した。
しかし、この拘禁施設の拷問がメディアの高い関心を集めたにもかかわらず、10カ月たってもいまだに1件も起訴に至っていない。しかも拷問被害者のうちすでに5人が、 宣誓供述書を取り下げた。
2012年11月にアキノ大統領の行政命令35条が可決された。これは拷問、強制失踪、超法規的処刑などを調査する検事の特別チームを全国で立ち上げるというものだ。
しかし2年たってもチームはまだ訓練の段階で、本当に全国で特別チームが編成されているのか不明だ。
2014年5月から、アムネスティは「拷問なんて、いらない!」キャンペーンを世界で展開しており、そのキャンペーンで特に取り上げている国のひとつがフィリピンだ。
12月には同国を対象とするアムネスティ調査団が報告書を発表する。その中で、拷問がはびこっている様、違法行為が裁かれないこと、拷問被害者への法的正義に立ちはだかる壁などを取り上げる。
アムネスティはこの機会に、フィリピンの拷問廃絶を視野に入れ、政府と建設的に関わっていきたいと考える。
アムネスティ国際ニュース
2014年11月10日
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