- 2014年12月10日
- [国際事務局発表ニュース]
- 国・地域:フィリピン
- トピック:
フィリピンでは逮捕されて拘束されると、誰でも拷問や虐待を受ける危険がある。(C)Amnesty International
フィリピン司法と人権に関する上院委員会は12月4日、アムネスティが指摘した拷問に関して調査を行う決議を採択した。アムネスティは最近発表した報告書で、同国の警察は何百人にものぼる拘束者を拷問し、まったく罪に問われていないことを明らかにしていた。
この上院の決定は、警察内で恒常化している不処罰の問題への前向きな取り組みであり、歓迎する。
政府が取るべき次の措置は、拘束施設を独立の立場で監視する体制づくりと警察の虐待を徹底的に捜査・起訴する独立した組織の構築の2つだ。
警察は、2013年フィリピン人権委員会に拷問の告発数を過小報告し、失態をごまかそうとした。実際は75件だったのに対し人権委員会への報告は6件だった。
どう数字を操作しようとも、警察の数字は氷山の一角に過ぎない。アムネスティが目の当たりにしてきたすべてが、実際の数字がもっと大きいことを示唆している。多くの人が報復を恐れて拷問を通報していないのだ。それも大きな問題だ。
注目すべきは「ゼロ」だ。拷問禁止法が制定されてから5年が経つが、拷問行為での有罪数はゼロだ。政府は有罪数ゼロから不処罰ゼロに移行すべきだ。
警察は記者発表でも、警察の人権侵害に関するアムネスティの見解を正しく伝えておらず、また、報告書に記載された55の拷問については何も述べていない。上院委員会の迅速な対応には嬉しい驚きを感じたが、現実をすり替えようとする警察の対応でぬか喜びとなった。
警察はこの深刻な虐待を根絶しようとするのであれば、組織内の拷問者を特定し罪を追及する必要がある。
アムネスティ国際ニュース
2014年12月4日
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