スロバキア:署内で虐待されたロマの少年たちに正義を

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2015年3月18日
[国際事務局発表ニュース]
国・地域:スロバキア
トピック:先住民族/少数民族

ロマの少年6人に対する虐待の罪で起訴されていたスロバキアの警察官全員(一部は退職)に、2月27日、無罪が言い渡された。アムネスティは、地方裁判所の判決に対して検察官が控訴したことを歓迎する。警察の全面協力のもと、検察官の控訴が滞りなく進むよう、国は対処すべきである。

裁判は5年に及んだ。この遅れは法廷でも問題視されたが、裁判所は被告人の1人が長い間病気で出廷できず、また裁判官の交代があったからだと主張した。

2009年、当時11歳から15歳だったロマの少年6人は、ショッピングセンターでの盗みと高齢の女性に怪我をさせたとして逮捕され、警察署に勾留された。同年3月21日、少年たちは署内でおぞましい虐待を受けた。互いを殴らされ、互いにキスさせられ、警官の前で全裸にさせられた。また、拳銃や警察犬を使った脅迫もあった。警官たちは行為の一部を携帯電話で撮っていたが、その動画が翌4月マスコミに漏えいし、一般に知れ渡った。警官が少年たちに怒声や差別的な言葉を浴びせる音声も録音されていた。

2009年夏、捜査が始まった。2010年春、捜査結果に基づき、警官10名が人種に基づく職権乱用や恐喝の罪で起訴された。捜査の間、警官は過失責任を否定し、法廷での証言を拒否した。

報道によると、裁判所は無罪判決の中で「犯罪を裏付ける証拠が不十分だ」と断定した。裁判所は、少年たちと法的後見人の証言に明らかな矛盾があるとも指摘した。動画についても、出所が不明で誰が録画したのかが特定できないという理由で、証拠として採用しなかった。また、映像があまり鮮明でなく、編集されているとも指摘した。

アムネスティの他、国内外の人権団体が行った調査によると、スロバキアではロマの人びとは頻繁に当局から差別を受け、警察などから残酷で非人間的な扱いを受けている。少年たちが虐待されてからほぼ6年経った今も、被害に対する補償を受けていないことも問題である。欧州人権条約、市民的および政治的権利に関する国際規約(自由権規約)、拷問等禁止条約、子どもの権利条約などの国際人権条約は、映像にみられるような残酷で非人道的な待遇や処罰をすべて禁じている。ロマの少年たちが受けた虐待は、国際条約違反である。同国の刑法も、拷問などの虐待と職権乱用を違法としており、国籍、民族、人種が動機となる犯罪には追加の制裁を課している。

刑事司法制度を通じてこの6人のロマの少年が確実に正義と救済が受けられるよう、アムネスティは強く求める。

アムネスティ国際ニュース
2015年3月9日

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