- 2023年5月27日
- [国際事務局発表ニュース]
- 国・地域:スロバキア
- トピック:子どもの権利
スロバキア議会は、5月9日に学校法改正を採択したが、教育におけるロマの子どもたちへの組織的な差別を防止することを目的とした修正には賛成票を投じなかった。議会はロマの子どもたちに対する違法な隔離教育に終止符を打つための重要な機会を逸し、ロマの子どもたちへの平等な教育という希望を打ち砕いた。これにより欧州司法裁判所との衝突は避けられない。
議会で成立した改正法には、ロマの子どもへの支援や幼稚園で学ぶ権利の付与など前向きな措置が入ってはいるものの、本来、国が取るべきロマの子どもの権利保護の義務には遠く及ばない内容だった。
差別を具体的に排除する措置が入っていない法律では、差別的慣行に十分に対応することができず、スロバキアのロマの子どもたちは、今後も教育上、分離された状態に置かれることになる。
欧州委員会は4月、教育におけるロマの子どもたちへの差別に適切な対処を怠り、人種平等に関するEU(欧州連合)の法令に違反したと、スロバキアを欧州司法裁判所に付託した。スロバキアは、教育制度上の差別撤廃とEU法を遵守した対応を早急に取らなければならない。
背景情報
ロマの子どもたちは、スロバキアでは教育を受ける権利と教育の場で差別を受けない権利を否定されてきた。ロマの子どもたちは、ロマの生徒専用の学校や教室、あるいは軽度の知的障がいを持つ子どもの特別支援学校や学級に入れられるなど、徹底した差別を受けてきた。
スロバキアでは、6歳から15歳までのロマの子どもの65%が、生徒の全員またはほぼ全員がロマの生徒からなる学校に通っており、同国は、EU加盟国の中でロマ専用の学校または教室の割合が最も高い国になっている。
欧州委員会は2015年4月に、「EU人種平等指令」に定められた教育における差別の禁止に違反したと、スロバキアに対し法的手続きを開始した。そして今年4月、欧州委員会はスロバキアを欧州連合司法裁判所に付託する決定をした。
アムネスティ国際ニュース
2023年5月9日
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