- 2016年7月14日
- [国際事務局発表ニュース]
- 国・地域:ギニア
- トピック:死刑廃止
ギニア国民議会が、死刑を廃止する改正刑法案を可決した。この一歩は、市民の人権を守る上で大きな前進となったが、新法には警察官ら治安関係者による拷問行為に関する免責や市民の抗議活動の抑圧を助長する条項も含まれている。
新法では初めて死刑を廃止し、拷問を犯罪化した。しかし、最もよく使われる拷問手法のうちいくつかは、「残虐で非人道的な扱い」と定義され、明確な罰則が定められていない。
最後に死刑が執行されてから15年経った今、すべての犯罪に対する死刑を廃止するこの法改正により、同国は19世紀並の国から本来あるべき近代的国家に変わる。
しかし新法には、治安関係者が拷問を加えても許される風潮を助長する条項が含まれ、言論や平和的集会の自由を抑圧しかねず、人権における歴史的な勝利となるはずだったこの法改正に、暗い影を投げかけている。大統領は、国際法や地域の人権保護法に沿ってその発布の前に同法を修正するべきである。
拷問に対しては、50万ギニアフラン(56米ドル)の罰金から最高20年間までの実刑が設けられている。しかしながら、国際法で拷問とされている行為が、新法では「非人道的で残虐な扱い」とされ、これに対しては罰則規定がない。具体的には、強かん、電気ショック、火責め、苦痛を伴う姿勢、感覚遮断、疑似処刑、水責めなどがこれに含まれる。
アムネスティとギニアの非政府組織は、ソーシャルメディアで動画配信されたものも含めて、今年始めから少なくとも4件の拷問があったことを報告書にまとめた。拷問を行ったとされる容疑者達は、これまで起訴されていない。
また新法は、拷問行為を不明瞭な言い回しで正当化し、さらに「必要な場合」という条項を設け、過剰な力の行使で相手を負傷させたり死亡させた治安関係者を保護している。法執行機関に関する国際法や国際基準では、警察・軍隊が力を行使できるのは、特に必要な場合で、職務遂行に適切な範囲内のみに限ると、明確に定められている。
ギニア政府は、一方の手で死刑を廃止しながら、もう一方の手では、犯罪防止の名のもとに行われる殺人行為を治安当局に許してはならない。
集会に関する条項は不明確であいまいさを残し、当局が自由な裁量で平和的な集会を禁止することを可能にしているが、これは国際基準と相いれない。さらに、集会の主催者は、集会参加者による違法行為に対し、法的責任を負わされる可能性がある。
また、公人に対する名誉棄損や侮辱を犯罪とする横暴な内容も盛り込み、テキストやイラストなど、どのような表現方法であっても最大5年の実刑に科すことができる。
アムネスティ国際ニュース
2016年7月5日
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