ギニア:スタジアム虐殺事件の加害者に正義の鉄槌を

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2021年10月 8日
[国際事務局発表ニュース]
国・地域:ギニア
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ギニアで2009年9月28日、首都コナクリのスタジアムに集まった反政権派の人たち数万人に治安部隊が襲いかかり、殺人と強かんの限りを尽くすという凄惨な事件が発生した。容疑者の罪を問う裁判は、12年経った今も始まっておらず、アムネスティなど6つの人権団体は9月27日、一刻も早い容疑者の裁判開始を訴える声明を出した。

6団体は、犠牲者・遺族・友人の会、すべての人に平等の権利を、ギニア人権団体、国際人権連盟、アムネスティ・インターナショナル、ヒューマン・ライツ・ウオッチ。

2009年9月28日、同スタジアムには、当時実権を握っていたダディ・カマラ大尉が大統領に就く意向を示したことに抗議する市民ら数万人が集まっていた。そこに突入した治安部隊は、集団に無差別に発砲し、150人以上を殺害し、100人以上の女性を強かんした。さらに事件を隠蔽するため、スタジアムの出入り口や遺体を保管した倉庫を封鎖した。その後、運び出した遺体を複数の場所に埋めたが、その多くは、今も場所がわかっていない。

ギニアは、今年9月5日のクーデターで政権が変わり、政権の移行期にある。この機に裁判を開始すれば、新政権が人権を尊重し、加害者の不処罰を決して許さないという強い姿勢を打ち出すことができるだろう。

12年の歳月が過ぎた今も、スタジアム事件の被害者や犠牲者遺族が加害者の処罰を強く願う気持ちは変わらない。6団体は昨年、事件をめぐる裁判の遅れと国の対応の悪さを厳しく批判した。事件の捜査は2017年末に終結しているのだから、裁判を速やかに開始すべきであり、被害者や犠牲者遺族をこれ以上待たせることはできないと主張した。

ギニア政府は、できるだけ早く、遅くとも昨年6月までには裁判を開始するという約束を何度かしてきた。だが、6団体は、政府には裁判をする意思がないのではないかという懸念を抱いている。

裁判の準備状況の監視役を担う、政府と国際機関からなる委員会が、数カ月前に業務を再開し、裁判のロードマップを作成した。審理が行われる裁判所の建設は進み、フランス政府による裁判官の研修計画も立てられた。ところが、裁判日程はいまだ決まっていない。

アムネスティと事件の被害者団体は、生存者や遺族の年齢と健康を考慮して追悼行事を今年で最後とする呼びかけをしている。裁判の開始と審判、被害者と遺族への補償は、待ったなしということだ。

事件の捜査は2010年2月に始まり、容疑者13人以上が逮捕され、うち11人が起訴された。容疑者の1人カマラ大尉は、当時の政権、国民民主発展評議会のトップで、現在はブルキナファソに逃亡中だ。他の容疑者の中にも、9月5日のクーデターまで政権にいた人物がいた。

今年9月5日の軍のクーデターで政権を掌握した「国家集結・発展委員会(CNRD)」議長のママディ・ドゥンブヤ大佐は、「正義はギニアの人びと全員の羅針盤になるだろう」と主張している。政権移行を注意深く見守る6団体は、ギニア市民の自由と人権の尊重を繰り返し求めている。

移行ではまず、不処罰に対する闘いを政策の中心に据えなければならない。過去60年以上、ギニアの汚点となってきた不処罰の歴史に終止符を打つことが、何よりも急務だ。そして、国際法を再認識し、人権侵害の被害者・犠牲者を適切に救済する必要がある。重大な犯罪を行った者に恩赦を与えることも、国際法に反する。

新当局は、長年にわたり人権と表現の自由、集会の権利を侵害されてきた活動家の身の安全を保障することも求められている。正義が必要不可欠な要件であることを認識して対応すべきだ。

国際刑事裁判所(ICC)は、2009年10月スタジアム事件の予備審理を開始した。国内の裁判所が、重大犯罪の調査・起訴をすることができない、もしくは行わない場合に、ICCが最後の砦となる。

最新の報告書で、ICCはギニア政府が裁判の開始日程を示さず、裁判がまだ始まっていないことに失望の意を示し、「ギニア政府は数カ月のうちに、犯罪者を処罰し、また新たな暴力が繰り返されることを防ぐ力があることを示さなければならない」と述べた。

ギニアのパートナー、特に西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS)、アフリカ連合、EU、ICC、そして国連は、ギニアの現状を注視し、スタジアム事件の裁判が速やかに始まり、また、当局が人権を尊重するよう、活動と支援を強化しなければならない。

アムネスティ国際ニュース
2021年9月27日

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