- 2017年12月 4日
- [国際事務局発表ニュース]
- 国・地域:南北アメリカ地域
- トピック:性的指向と性自認
エルサルバドル、グアテマラ、ホンジュラスのLGBTI(レスビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー、インターセックス)人びとが、自分たちへの差別や暴力に耐えかねてメキシコや米国に逃れ、さらにそこでも辛い目に遭っている。アムネスティの聞き取り調査でわかった。
エルサルバドル、グアテマラ、ホンジュラスの3カ国では、性的指向に基づく差別や暴力が激しくなるばかりだ。LGBTIの人びとは、日常的に虐待・暴力を受けるという。ギャングから金品を強奪されることもある。警察官からも狙われる。この3カ国は、殺人件数で世界最悪レベルでもある。
犯罪の不処罰と役人の腐敗がまん延し、加害者が罰せられることはまずない。加害者が警察官の場合はなおさらだ。
ホンジュラスのNGOによると、同国では2009年から2017年までの9年間で、264人のLGBTIの人びとが殺害されたが、その加害者のほとんどは裁かれることはなかった。
こうした状況に置かれた人たちの多くは、「自分の身を守るには、国を出るしかない」と思ったという。
その上、米国を目指して縦断するメキシコでも、庇護を求めてたどり着いた米国で長期間入れられる難民収容所でも、厳しい状況が待っている。
自国で暴力におののき、救いを求めた先でも嫌がらせを受け、メキシコと米国は傍観者を決め込んでいるという構図が見えてくる。
得られぬ安息
LGBTIの難民は、国を逃れても、平穏な生活には程遠い。
メキシコでは、ほとんどのLGBTI難民が差別や暴力を受けた。また多数が、南のグアテマラとの国境付近を縄張りとするギャングに「国に帰れ」と脅され、「日々、不安だ」を話す。
2016年と2017年の国連高等難民弁務官の調査によると、3カ国のLGBTI難民の3分の2が、メキシコで性的な、あるいはジェンダーに基づく嫌がらせや暴力を受けた。
難民担当者の対応もなおざりだ。申請の受付に消極的で、申請しても長期間待たされる。人権侵害を受けたと申し立てても、その後の捜査についての説明はない。 多くの人びとが、さらなる危険を顧みず、国境を超えて米国にたどり着いたが、入れられた難民収容所での対応がひどい。
また、米国やメキシコから自国へ送還された人びともいる。
どこに行ってもまん延する暴力と差別は、逃げ場がないLGBTIの人びとにとって深刻だ。エルサルバドル、グアテマラ、ホンジュラスの中米3カ国とメキシコ、米国がLGBTIに対する暴力と差別に真正面から取り組み、新たな政策を実行しない限り、逃げ場がない人びとの苦悩は終わらない。
メキシコと米国は、政策と取り組みを見直し、国際的な保護を求める人びとが保護を受けられるように保障する必要がある。
アムネスティ・インターナショナル国際ニュース
2017年11月27日
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