- 2019年2月15日
- [国際事務局発表ニュース]
- 国・地域:フィリピン
- トピック:
報道によると、フィリピン上院で、刑事責任が問われる年齢を12才に引き下げる法案が可決される可能性がある。
この時代錯誤の法案が成立すれば、犯罪件数が減少するのではなく、家庭崩壊の増加につながるおそれがある。法案は、麻薬撲滅作戦の一環として出された。だが、この無謀な作戦で、子どもを含む市民数万人が犠牲になってきたことを忘れてはならない。
政府は、刑事責任を低年齢化し、子どももその対象にしようとしている。対象となる犯罪には、薬物関連も含まれる。警察が、裁判官であり、刑の執行人でもあるような社会状況で、刑事責任の低年齢化により、権力のさらなる乱用を生むおそれがある。
当局は、この法案は子どもの更生が目的だと主張するが、国連子どもの権利条約や現行の児童・青少年福祉法が定める義務の履行を何よりも優先すべきだ。
上院は、この極めて大きな問題をはらむ法案を廃案にするべきである。
背景情報
2016年の大統領選で、ドゥテルテ候補は、犯罪の取り締まりを公約に掲げた。その中で刑事責任の低年齢化を訴え、複数の子どもの権利擁護団体や国連など国際社会から激しい非難を浴びた。
国連人権理事会が2017年5月に行ったフィリピンの人権状況審査では、多数の国がこの低年齢化に反対し、現行の児童・青少年福祉法の実効性ある適用こそ、徹底すべきだと主張した。
今年1月28日、下院は、刑事責任を負う年齢を12歳に引き下げる法案を可決した。上院は現在、独自の法案を検討中だ。
もし法案が可決されれば、刑法が改正される。現行では、15歳未満は刑事責任を問われず、少年司法福祉法に基づき国が調停に入る。少年司法福祉法では、法を犯した子どもの適切な保護、更生、社会復帰など児童の福祉が最優先に対応される。
アムネスティ国際ニュース
2019年2月5日
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