- 2019年2月20日
- [国際事務局発表ニュース]
- 国・地域:フィリピン
- トピック:
ネットメディア「ラップラー」の最高経営責任者(CEO)マリア・レッサさんが2月13日、インターネットでの名誉毀損の容疑で逮捕された。
数日前、国家捜査局が、サイバー犯罪法違反でレッサさんを起訴すると発表していた。アムネスティは、容疑は捏造されたものであり、逮捕は不当であるとみている。
レッサさんや同社幹部は、これまでも繰り返し当局の圧力を受けてきた。今回のCEO逮捕も政治的な理由によるものだと言える。当局は、このような嫌がらせをやめ、告発を取り下げるとともに、サイバー犯罪法という抑圧的な法律を廃止すべきである。
正義が社会に根付くまでに年月を要する国では、メディアトップが証拠もなく起訴される。また、真実を報道しようとするメディアに嫌がらせなどの圧力を加える道具として、法律が使われる。
事件の背景
2012年5月にラップラーは、元最高裁長官が一時使用していた車は、人身売買や薬物密輸の疑惑がある男性のものだ、とする記事を掲載した。その男性が昨年1月、記事を書いた記者とCEOら8人をサイバー犯罪防止法の名誉毀損で告発した。その後、国家捜査局は、記事が公表された時点では同法の施行前だったとして、告発を却下した。しかし、司法省は今年1月、2014年2月に上の記事が更新されたとして、あらためて7人を起訴した。
ドゥテルテ大統領が主導する薬物犯罪の取り調べで、数千人の市民が司法手続きもなく殺害されてきた。ラップラーは、この超法規的な「処刑」の何件かを詳細に取材して、記事にしてきた。
当局は、現政権に批判的な姿勢のラップラーに対し、レッサさんと同社を脱税の容疑で告発もしている。
アムネスティ国際ニュース
2019年2月13日
追加情報:レッサさんは2月14日に保釈された。
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