フィリピン:テレビ局の裁判に関する口外禁止令を取り消せ

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2020年2月28日
[国際事務局発表ニュース]
国・地域:フィリピン
トピック:表現の自由

© AFP/Getty Images
© AFP/Getty Images

ホセ・カリダ検事総長は2月18日、最高裁判所に対し、自身が最高裁に起こしている放送局ABS-CBNの営業権無効の裁判について、口外禁止命令を出すよう求めた。

カリダ検事総長は、2月10日に最高裁に起こした同局の営業権剥奪の申し立ての中で、憲法が禁止する外国人投資家を認めるなど、同局が犯したとされる違法行為を列挙した。また、国の承認を得ずに定額サービスを開始したことも、槍玉に挙げた。

これに対して、訴えられた局側は、営業権剥奪の是非を議論する声明を出そうとしていた。

口外禁止命令は、政府批判を抑え込む狙いがあることは明らかであり、もし、この命令が発令されれば、表現の自由を侵害する極めて危険な前例となる。国が、報道の自由や人権侵害など市民の利害に関わる問題の議論を阻止することは、重大な問題である。

ABS-CBNは、ドゥテルテ政権の「麻薬撲滅戦争」で、警官が多数の死者を出してきた問題を取材し、調査報告書を公表した。ニュースサイト「ラップラー」も、同様に薬物捜査に批判的な立場を取ってきた。そのラップラーも、脱税、サイバー侮辱罪、外資導入などで、政権に訴えられている。

政権はテレビ局だけでなく市民の言論の自由も封じている。

当局が、市民の表現の自由を規制し、その口を封じるのは、決して許されることではない。国が、自由な報道を阻もうとすればするほど、国に対する批判が増すだけである。やるべきことは、市民の主張を聞く耳を持ち、批判の対象となる問題に対処することである。

国は、最高裁への申し立てを取り下げなければならない。

背景情報

最高裁はABS-CBNに、口外禁止令の申し立てに対し5日以内に、閉鎖要請に対しては10日以内に、それぞれ回答を出すよう命じた。

現在、議会では、テレビ局の営業許可更新に関する複数の法案が審議待ちだが、昨年7月に本議会が始まって以降、これらの法案が議題に上がったことはなかった。

ABS-CBNの営業許可は、この3月に期限切れとなる。

アムネスティ国際ニュース
2020年2月18日

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