- 2020年5月12日
- [国際事務局発表ニュース]
- 国・地域:ソマリア
- トピック:地域紛争
(C) US Air Force
米アフリカ軍(AFRICOM)は4月27日に公表した報告書の中で、ソマリアでの同軍の空爆で市民2人が死亡し、3人が負傷したこと明らかにした。報告書は、昨年2月1日から今年3月末までの1年間に同軍がソマリアで実施した91件の空爆を検証している。
過去数十年間、軍事行動による民間人犠牲者数を公表してこなかった同軍が、今回初めて公表したことは、空爆情報の透明性に向けた一歩として評価できる。
とはいえ、今回の報告で、犠牲者や負傷者への説明責任を免れることはできない。また、今までのところ行われていない犠牲者遺族への補償も果たさなければならない。
1年前、アムネスティの指摘を受けて、米アフリカ軍は、ソマリアでのすべての空爆を検証し、市民の犠牲を漏れなく調査・報告すると約束していた。にもかかわらず、今回の報告は昨年2月以降の攻撃に限定している。全面検証には程遠い。
また、犠牲者遺族などがウェブサイトから当局に通告できるようになったのは、一つの前進だが、多数の住民は、スマートフォンの禁止地域やインターネットが不整備の遠隔地に住む。この点に配慮し、一族の長老などが、犠牲者遺族の代理人として軍当局者と話ができる場を設けるなどの方法も検討されるべきである。
背景情報
報告書は、メディアやNGOなどの情報も考慮し、市民の犠牲が出たとされる27件のうち、20件を「(検証)終了」とし、残る7件を「検証中」とした。この27件中の2件は、アムネスティが4月初旬に指摘していた事案だった。
アムネスティは、2017年以降の空爆について、供述証拠や衛星写真、専門家による画像や動画の分析などで調査し、9件の空爆で民間人の死者21人、負傷者少なくとも11人を出したことを特定した。明らかに国際人道法違反の空爆もあった。
これに対して、米当局は、2017年以降の空爆の被害者としては、2件の空爆での死者4人と負傷者3人しか認めていない。
アムネスティ国際ニュース
2020年4月27日
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