- 2021年3月16日
- [国際事務局発表ニュース]
- 国・地域:ソマリア
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ソマリア北東部のプントランド自治領当局は、大統領と国会議員の選挙を控え、ジャーナリストの脅迫、嫌がらせ、拘束などで報道の自由の弾圧を強めている。
この2カ月半でジャーナリスト4人が、首都ガローウェと海沿いの町ボサソで拘束された。先送りされていた選挙の実施が近づく中、ジャーナリストの活動、報道の自由、表現の自由の権利が、当局の弾圧を受けるという憂慮すべき事態になっている。
当局は、弾圧をやめ、報道の自由と市民の知る権利の尊重、保護、推進に取り組まなければならない。
フリージャーナリストのキルウィ・アダン・ファラーさんは、昨年12月26日に政府の通貨政策の失敗に抗議するデモを取材したが、その翌日に拘束された。その後、「虚偽ニュースの報道と国・州政府の侮辱」など5つの罪に問われ、3月3日の軍事法廷での審理で、禁錮3カ月の実刑判決を言い渡された。
軍事裁判所は、「いずれの容疑もそれを証明する証拠の提示はなかった」と認めたにもかかわらず、有罪判決を下した。適用された刑法は、極めて広範で時代遅れなもので、「社会の危険分子」とみなす個人を拘束するなどの裁量権を裁判官に与えている。判決を不満とする検察側は3月4日、控訴し、ファラーさんの裁判は続いている。
2月22日には、ボサソでフリージャーナリストのアーメド・ボタン・アラブさんが拘束された。その前日、プントランドのデニ大統領が演説し、自治領の政治的動きやソマリアの連邦政府と地域政府が選挙の調整が難航していることなどを語った。アラブさんは、ボサソ住民がこの大統領演説についてコメントしている動画を公開しただけだった。
2月25日、アブディファタ・アブドゥラヒ・ファラーさんもこの大統領演説を記事にして拘束された。ソマリア・テレビジョン・ネットワークの記者も一時、拘束され、数時間の尋問を受けた。同記者はアムネスティに、「プントランド政府と幹部を批判しないと約束して釈放された」と語った。そのほか、大統領に批判的な人たちを取材しただけで2日間拘束されたというジャーナリストらもいた。
アムネスティは、これまでもソマリア中南部での表現の自由の権利と報道の自由に対する侵害を明らかに批判してきた。当局は、報道活動に対する嫌がらせや脅しを直ちにやめるべきだ。また、実刑判決を受けたファラーさんの根拠ない容疑を取り下げ、即時無条件に釈放しなければならない。そもそも民間人を軍事法廷で裁くのは、国際人権法違反であり、やめるべきだ。
国にとって公正な選挙を実施する上でとりわけ重要なことは、連邦政府と各地域政府が、ジャーナリストの取材と報道の自由を全面的に認め、尊重することだ。
武装組織によるジャーナリストの襲撃もあった。3月1日には、フリージャーナリスト、ジャマル・ファラ・アダンさんが、友人と会話中に武装グループに撃たれて亡くなった。反政府武装組織アル・シャバブが、犯行声明を出した。デニ大統領は3月6日、アダンさん殺害で数人の容疑者を拘束して取り調べていると語った。
アル・シャバブなどの武装組織も、ジャーナリストを標的にするのをやめるべきだ。また、当局は、捜査の容疑者を特定し、公正な裁判にかけるべきだ。
アムネスティ国際ニュース
2021年3月9日
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