- 2020年7月 7日
- [国際事務局発表ニュース]
- 国・地域:イスラエル/被占領パレスチナ地域/パレスチナ
- トピック:
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イスラエルは、7月1日から審議を始めるヨルダン川西岸地区の併合計画を直ちに取り下げなければならない。併合はあからさまな国際法違反であり、何十年にもわたって行われてきたパレスチナ人に対する人権侵害を固定化するだけだ。併合に向けた動きは、イスラエルが国際法を度外視する姿勢の表れだ。
国際社会は、この併合計画、そしてイスラエル政府が推し進めてきた違法な入植に対して、毅然とした態度を取るべきだ。
併合は明確な国際法違反である。併合で、被占領地やその住民の国際法上の法的地位が変わるわけでもなく、占領国としてのイスラエルの責任がなくなるわけでもない。併合は、パレスチナを弱肉強食の世界に変えるだけであり、時代錯誤も甚だしい。
国際社会は、国際法に基づき占領下にある西岸のいかなる部分の併合も無効であることを、あらためて表明しなければならない。また、西岸地区での入植拡大やインフラ整備の即時停止も求めるべきだ。
併合は無効
ベンジャミン・ネタニヤフ首相と元政敵ベニー・ガンツ氏は4月の連立政権結成時、ヨルダン西岸地区の一部の併合手続きについて、その審議を7月1日に始めることで合意した。複数の報道によると、イスラエルは西岸地区全体の33パーセントの併合を計画しているという。
併合は武力による領土獲得であり、明白な国際法違反だ。国連憲章の基本原則で禁じられており、国際法の強行規範や国際人道法に規定された義務にも反する。
イスラエルによる併合が始まれば、パレスチナ自治区への入植が加速化し、パレスチナ人の土地がさらに奪われることになる。また、パレスチナ人に対する差別と人権侵害の固定化につながる。
国連の専門家多数が、併合案を「21世紀のアパルトヘイト」と呼び、懸念を表明している。
違法な入植
被占領パレスチナ地域にイスラエル人を入植させ、パレスチナ人を追放する行為は、国際人道法の基本原則に違反する。ジュネーブ第4条約の第49条は、占領国が占領する地域へ自国の文民を移送・追放することを禁じ、また、被占領地域の住民の強制移動・追放も認めない。
イスラエルによる入植は、戦争犯罪にあたる。さらに、恒久的な入植とインフラ整備はパレスチナ人のためにはならず、ジュネーブ第4条約で例外的に認められている安全保障上の必要性を満たすものでもない。ジュネーブ第4条約では軍事目的以外の私的財産・公共財産の収奪・破壊を禁じているが、入植はそれを大規模に行うものである。
背景情報
4月20日に公表された併合計画は、米国のトランプ大統領が、「世紀の取引」と呼んだ和平提案を受けたものだ。
和平提案には、イスラエルに対しヨルダン川西岸地区の入植地やヨルダン渓谷を含む地域の併合に向けた国内手続きの開始を認めることへの合意も盛り込まれている。この提案は、西岸地区での人権侵害を助長し、長年、戦争犯罪や人道に対する罪など重大な国際法違反を行ってきたイスラエルに対する不処罰を根付かせるだけだ。
国際社会は、「世紀の取引」を含め、パレスチナ人の不可侵の権利を否定するいかなる提案も許してはならない。また、国際刑事裁判所がパレスチナにおける問題で管轄権を行使する際には、国際刑事裁判所を全面的に支持すべきだ。
アムネスティ国際ニュース
2020年7月1日
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