- 2020年7月 9日
- [国際事務局発表ニュース]
- 国・地域:フィリピン
- トピック:
(C) Getty Images
フィリピンで7月3日、反テロ法がドゥテルテ大統領の署名で成立した。ドゥテルテ政権は、反政権派を国の敵対者とみなし追い詰める新たな手段を手にしたことになる。
同法では「テロ」の定義で、政権を批判すれば穏健派でもテロリスト扱いされかねない。人権擁護活動への弾圧や過激な取り締まりに対して、歯止めが効かなくなる懸念もある。
テロ対策を目的とする法律には、国際人権法と人道法を尊重し、基本的な自由を保護するという大前提がある。人権状況の悪化が続く中での反テロ法の導入だけに、フィリピン当局による人権侵害に対して、国連による公式調査の必要性が高まったと言える。
背景情報
反テロ法は、2007年に施行された安全保障法に代わるものとして導入された。アムネスティは、フィリピン政府に対しこの法案の撤回を求めてきた。法案は、人権侵害を引き起こす条項を含んでおり、人権状況の一層の悪化を招くおそれがあったからだ。
反テロ法は、次の行為を「テロ」とみなしている。
- 人命を危険にさらし、人に重傷を負わせる、または人命を奪う目的で行う行為への関与
- 国や公共の施設や場所、私有財産に大規模な損害、または破壊を加えることを目的とした行為への関与
- 社会インフラの破壊を伴う、広範な社会的妨害を目的とする行為への関与
- 武器の、開発、製造、所持、取得、輸送、供給、使用
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次の目的が伴う危険物の使用、または火災、洪水、爆発の惹起
・一般市民に恐怖を与えること
・恐怖を煽るメッセージを拡散させやすい環境をつくること
・政府または国際機関を恫喝で挑発し、または影響を与えること
・政治、経済、社会の基盤を著しく不安定化し、または破壊し、非常事態を引き起こす、または著しく治安を脅かす行為
同法が定める違法行為の企て、扇動、共謀、または違法行為の計画・訓練・促進への参加、「テロリスト」への支援、または「テロ組織」への勧誘は、執行猶予なしの終身刑を受ける。
テロという表現を使った脅迫、テロ行為への扇動、または提案、テロ組織と知った上での自発的参加、またはテロ行為の共犯には、12年の刑が科される。
警察・軍は、容疑者を令状なく14日間、最長24日間、拘束できる。また、容疑者を60日間、最長90日間、監視下に置くことができる。
アムネスティ国際ニュース
2020年7月3日
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