アンゴラ:緊急事態・災害事態宣言違反で処刑される若者たち

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2020年9月 1日
[国際事務局発表ニュース]
国・地域:アンゴラ
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(C) BwalaMidia
(C) BwalaMidia

新型コロナウイルス対策の緊急事態宣言・災害事態宣言が出されていた5月から7月の3カ月間で、アンゴラで少なくとも7人の若者が、治安当局に惨殺されていたことが、アムネスティ・インターナショナルと同国の人権団体OMUNGAOによる家族や目撃者への聞き取りなどでわかった。

犠牲者は全員が男子で、最年少は14歳だった。実際の犠牲者数は、7人よりずっと多いと思われる。聞き取りで浮かび上がってきた殺害の状況は、目に余るものばかりだった。

アンゴラでは3月25日に緊急事態宣言が発令され、5月26日に災害事態宣言に移行しているが、どちらも外出を制限している。災害事態宣言は市場や商業施設、公共の屋内空間などでのマスク着用を義務付けている。

治安当局は、緊急事態宣言・災害事態宣言の違反者に対して過剰で違法な力の行使を繰り返している。これらの措置は、人命を守り、市民生活を維持するためであるはずだが、発動を口実に、治安当局が市民の命を奪うのは、本末転倒も甚だしい。

目撃者によると、殺害に関与したのは国家警察と国軍の両組織で、警官や隊員は、無抵抗の若者たちに銃口を向けた。7人を含む殺人事件の多くは、貧困地域で発生していることも特徴的である。

5月9日の夜10時ごろ、トニさん(21歳)は、友人の赤ちゃん誕生祝いからの帰りに、警官らが若者の集団を追い払っているところに出くわした。マスクをしていなかったために逃げ出したところを発砲され、頭部に銃弾を受けた。

6月5日夜、アルティノさん(15歳)は、祖母が営む食堂を訪れたとき、警官らが通りにいる人たちを追い払おうと、発砲を始めた。その一発が、食堂に駆け込む寸前のアルティノさんの腹部に命中した。目撃者によると、撃った警官は酔っていたという。

6月17日朝、ジュアンさん(20歳)は、町の銭湯に行く途中、警官に出会い、慌ててマスクを取りに帰ろうとすると、銃を構えた警官に「逆立ちをしろ」と言われた。「できない」と云うと、いきなり耳元で銃の引き金を引かれて空に一発、爆音に呻きながらうずくまった。心臓病と高血圧症を抱えていたジュアンさんはその後、病院で亡くなった。

7月3日朝7時、キルソンさんが仲間とサッカーをしていたとき、現れた警官らにいきなり発砲され、銃弾を受けて倒れた。警官は、キルソンさんを足蹴りにした後、車に乗り込んで走り去った。

7月4日、叔母宅での夕食を終え帰宅途中だったカルロスさん(16歳)は、警官と治安部隊員に追いかけられ、背後から銃弾を受けて倒れ込んだ。警官の1人は、住民から受け取った水をカルロスさんの顔にかけた後、その顔に向けて銃の引き金を引いた。

7月13日の深夜、タクシー運転手のクリードさん(16歳)は、友人宅に向かう途中に悲劇に見舞われた。「警察が来るぞ」と叫ぶ声を聞いたクリードさんは、身を隠そうとしたが間に合わず、銃弾を受けて即死した。クリードさんと一緒にいたマウリシオさん(16歳)も肩に銃弾を受けたが、幸いにも命に別状はなかった。

聞き取りで判明した犠牲者のうち最年少は、マリオトさん(14歳)だった。5月13日の朝、若者の騒ぎに駆けつけた警官が空に向けて発射したはずの銃弾が当たり、亡くなった。

当局は、7人の殺害に関与したとされる警官や隊員の取り調べを始めたが、一連の殺人事件の捜査を迅速・公正に行い、容疑者を裁判にかけ、事件の解明と遺族への説明と補償に取り組まなければならない。アンゴラで貧困層向けに無償の法的支援を行うNGOが、その実現に向け遺族を支援している。

治安当局は、いかなる場合も、国際的な人権の義務、特に生存権を尊重し保護する義務を遵守しなければならない。銃の使用は、あくまでも例外的な場合に限られる。

アムネスティ国際ニュース
2020年8月25日

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